綺麗だ�� ページ2
「聞いて、芥川くん」
私は両手で彼の頬を包み、顔を此方に向ける。
「私ね、暑いのは苦手だし、人混みも余り好きじゃないの。小さい頃から夏は嫌いだった。でもね最近はそうでもないの。どうしてか分かる？」
両の手から冷たさが伝わってくる。どうしてこんなにも暑いのに君は冷たいんだろう。私の手の中で彼の瞳が揺らいだ。
「君が、芥川くんが隣に居てくれるからだよ。
……君の隣は静かで、なんだか涼しいの」
彼の目が大きく見開かれた。
口数が少なくて、ぶっきらぼうで、でも優しくて。そんな君の隣は何時も落ち着ける。君が善人であろうと、悪人であろうと、其の事実はきっと変わらない。
「……済まない」
「そうじゃないでしょう？」
「……あり、がとう」
彼は私の手を握ると花火の方を見てしまった。
……芥川くんが自信を持てないのは私にも原因があるのかもしれない。こうなったら私の想いをしっかり伝えるしかない。
「芥川くん、好きだよ？」
「芥川くんは格好良いし、優しいし」
「それに、口数が少ないのに──────」
私の言葉は彼の唇によって遮られた。ほんの少し触れるだけの口付け。彼はすぐに離れると繋いでいる手と反対の手で顔を覆った。なんだか顔が赤い気がするのは花火のせい、きっと。
「あまり、僕を揶揄うな。……A、愛している」
「そんなの知ってるよ」
来年も再来年もずっと此処から花火を見よう。
君が隣に居てくれたら嫌いな夏も好きになれる。
「あ、来年は浴衣とか着てみようか。こんなベランダでも夏祭り感でるよ。きっと。」
「あぁ、其れはきっと──────」
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗奈 - 読ませていただきました。きっとこの二人は幸せになれるだろうと思いました。だってお互いが大好きなのがすごく伝わってきましたから！伏線回収も素晴らしかったです。素敵な作品をありがとうございました。 (6月14日 15時) (
レス) @page2 id: 1d0df350f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：若菜あさぎ | 作成日時：2023年5月13日 21時
