86.ネガティヴブレイク2 ページ39
「な、何言ってんの……？」
『まだ、時間ある。最後の作品なら、ちゃんと最後まで頑張るべきだよ、そんで幼馴染さんに見せようよ！！』
目を見開き、口をパクパクする彼女。
私はベッドから降り、彼女の腕を引く。
先ほど机に当たった節々が痛むが、御構い無しに教室へ走る。
教室に戻ると、グチャグチャだった彼女の机は片付けられていた。
ゴミ箱を見ると、ゴミの中には彼女のバラバラになった作品も入り混じっていた。
私は容赦なく、そのゴミ箱に手を突っ込み、彼女のバラバラになった作品たちを集める。
「なにしてんの？！汚れちゃうわよ！」
私の手を握って止める彼女は、泣きながら自分の作品だったものを見つめる。
一通り、集めるとパズルのようにそれらを繋げる。
浮かび上がったのは、茶髪の小さい男の子が泣いている顔。
水彩で描かれたその絵は、彼の悲しい感じが伝わってくる。
ただ、破れてなければ素晴らしい絵だった。
最後の作品は悲しい感じで終わらせたかったのだろうか？
「それ、その男の子が幼馴染。
小さい頃ずぅっと泣いてたの」
『もう、泣かなくなったんだよね…？』
コクリ、と頷く彼女。
『だったらさ、彼の成長したのを描いてあげようよ…脱泣き虫！みたいなの！』
私がそう言うと、彼女はキョトンとして笑った。
「なによ、それ！
面白いわ、ちょっと描いてみたいかも。
ちょっと先生に言って新しい紙を貰ってくるわ！」
生き生きとした顔に戻って、彼女は教室を出て行った。
取り残された私は、改めて彼女の作った作品の男の子に目を向ける。
『…………私みたい…』
ウジウジ悩んで、アイドル科の人達に助けてもらってばっかり。
菜穂さんの言った言葉は図星だった。
前に進みたいな……。
私も、彼女の幼馴染さんのように強くなりたいな。
アイドル科の人達に恩返しがしたい。
私ができることって少ないけど、もっともっとできること増やして、恩返しがしたい。
私は知らぬ間にギュっと拳を作っていた。
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水無月のぞみ - ラブな方向にはいかないんだね。ちょっと残念かな。 (2021年11月30日 11時) (
レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
あいすらて - あ、あの66話？ページ？の助手席が女子席になってますよ。 (2017年5月7日 22時) (レス) id: 7c8319a22f (このIDを非表示/違反報告)
まふゆ(プロフ) - 読みました！とても良い作品で楽しく読ませていただきました！ですが、月永ルカではなく、月永るか が正しい名前なので修正して頂けるといいかなと思います(；´･ω･) (2017年4月4日 17時) (レス) id: b38eb2cad2 (このIDを非表示/違反報告)
knightblove にぃちゃん大好き - 最高です！！！！！！！新作も楽しみにしています！頑張ってください！ (2016年12月3日 12時) (レス) id: aefc484b02 (このIDを非表示/違反報告)
立花青葉(プロフ) - 今日一気読みしました！終わりまでがあっという間だと思うぐらい文がきれいな作品でした！新作も頑張ってください！応援してます！ (2016年8月15日 22時) (レス) id: ed60a58be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久城 | 作成日時：2016年1月17日 16時
