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真希「………えっ、なに？好きちゃうん？」
重岡くんの好きな人への誕生日プレゼントを選びに出掛けた日の翌日。
最近の私の近況が気になる真希に捕まったので、講義が終わった私たちは大学近くのファーストフード店で軽いガールズトークに花を咲かせた。
まずは重岡くんとの出会い等を話したきり他の情報はあまり話してなかったので、軽い近況報告と
そこから、最近は重岡くんと一緒に居るとなんだか変な感じになるという事も相談。
そして一通り話し終えると、相槌しながらも静かに聞いてくれていた真希は首を傾げながら冒頭のセリフを言った。
「いや、違うよ！その人の想いが実るように私なりに力添え出来るように頑張ってるんだけど…」
真希「まずその人に好きな人がおる事に関しては？なんも思わん？」
なんも思わん？………こんな素敵な人に長年想われてるなんて羨ましいなあ、とは思ったよ。そりゃ。
公園で切なそうに語る重岡くんは今にも消えてしまいそうなぐらい弱ってて、どうにかしてあげたかったし。
それと同時に、そこまで想われてる子が羨ましかった。
真希「仮に！その男がその好きな子と付き合っても、Aちゃんは気にならへん？」
軽く、重岡くんと重岡くんの好きな子が肩を並べて歩いているところを想像してみる。
「……幸せそう」
思い浮かんだのは重岡くんの幸せそうな春の太陽みたいな温かい笑顔。
すごく幸せそうで、私の心もポカポカと暖かくなったけど、それと同時に少しズキ、と痛んだ
………気がする。
真希「Aちゃんが優しい事は仲良くなり始めて数ヶ月の私にも伝わってる。でも！」
優しすぎたら後悔すんで。
真剣な表情でそう言ってくれた真希を見て、思わず口を結んだ。
ますます分からない。好きの定義ってなんなんだろう。何をどう思ったら“好き”っていう感情なんだろう。
全く分からない。私が読んできた恋愛小説に好きの定義なんか書いてなかった。
いつの間にか主人公が好きになってて、七転び八起きで踏ん張りながらも付き合って、ハッピーエンド。
私が昨日読んだ小説の主人公も、私の好きな小説の主人公も、好きになったタイミングやきっかけは細かく書かれてなかったから分からない。
まだなにも分からないけど、重岡くんを好きになってしまったらダメな事だけは分かった。
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作者名：つき | 作成日時：2019年7月22日 19時
