純恋文書（赤） (ページ20)

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そこから重岡くんは私の色恋について聞かなくなった。

今まで重岡くんみたいに彼氏だなんだと質問してくる人は居たが、そこで私が何もないことを断言すると物珍しくなって更に質問してくる人がほとんどだった。

なのに、重岡くんは違う。

興味がないだけなのかもしれないけれど、それ以上詮索してくることはなかった。

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「っ！ねえ、重岡くん！」

『なに？！』

「このミルクティー、すっっっごい美味しい！」

チーズケーキを食べ終え、やっとミルクティーを飲むと、それはもう美味しい以上の言葉はないのか？と探してしまうぐらい美味しいものだった。

この感動をどうしても重岡くんに伝えたくなった。

だから少し、声が大きくなって重岡くんを驚かせてしまったが、そんな私の反応を見て「んはは」とグーに握った手を口元に寄せて笑った。

『ミルクティーが苦手な子でも飲めるぐらい美味いからな、ここ』

急に大きい声出すからビックリしたわ～！なんて笑いながら重岡くんもミルクティーを飲む。

そうか、ミルクティーが苦手でも飲めるくらい美味しい…最強すぎる。あとで淳太さんに土下座でお礼しよう。

密かにそんな事を思っていると、重岡くんは「片岡を連れてきて良かったわ」と呟いた。

『今日、ほんまにゴメンな』

重岡くんがいとも簡単に今日を素晴らしい日にしてくれたから、何に関して謝ってきてるのかを忘れてしまっていた。

重岡くんが椅子からゆっくり立ち上がり、私の横に立つから自然と目で追っていると

『まだ、痛い？』

そっと、多分叩かれた方の頬に手を添えた重岡くんと目が合う。

初めて親戚以外の男性に触れられたからか、優しく聞いてくる重岡くんの声が掠れて色っぽいからか、

じわじわと自分の身体が熱を帯びている気がする。

「全然、もう、痛くない、よ」

叩かれた頬の状態を見ようと顔を近づけてくる重岡くんを意識しすぎてうまく喋れない。

菜月さんに叩かれた時より痛いと感じてしまっている。

心臓が。

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