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「安室さん…私状況がよく把握出来ないのですが…ここは一体?」
「まぁまぁ、とりあえず中に入りましょう」
安室さんはスタスタとマンションの中へと入っていき、エレベーターで5階まで上がると、廊下に並んでいるドアのひとつにカギを回した。
安室さん家なのかな…?
あんなに高級なマンションに住んでいるのに…こんな別の家も持ってるのか…さすが金持ち
ドアが開かれ、中を覗くと
どこか懐かしい雰囲気を感じた。
どうぞ、と促されるまま靴を脱ぎ、部屋の奥まで進む。
すると、奥の部屋には白いベッドに、黒のローテーブル、そして私がアジトで生活していた部屋にあるはずのもの達があった
「どうして…アジトにあるはずのもの達がここに…」
「気に入りましたか?」
後ろを振り向けば、優しく微笑む安室さんがいた
「今日からここはあなたの家です。アジトの荷物もほとんどここに移動出来たはずです。必要最低限の生活道具も揃えましたし、強いていえば床が畳なのは許してほしいですがね。…Aさん?」
「なんで…、なんでここまで、私のためにやってくれるんですか?私は…どんなことをして、降谷さんに返せばいいのか…」
目に熱いものがこみ上げてくる。
安室さんの前では泣かないと決めていたが、ふわっと柔軟剤の香りに包み込まれ、自然と涙がこぼれ落ちる
「深く考えなくていい。僕が今までしてきたことがAを苦しめていたのだとしたら申し訳ない…。だが、全て僕がしたくてしてきたことなんだ、だから、Aにはいつまでも笑っていて欲しい…それが、僕が求めているものだよ」
私を抱く腕が少し強くなる。
安室さんは空いてる手で優しく髪を撫でてくれ、その優しさにさらに涙が零れた
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どのくらい経ったのだろうか。
明るかった部屋はいつの間にか夕日によってオレンジ色に染められていた。
顔を上げ、上を見ると優しく笑う降谷さんと目が合う。
「もう大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます…突然泣いてしまって、すみま」
すみません、と言いかけると指でしーとやられ、言葉を飲み込んでしまった。
「僕に対して、すみませんは禁止です」
「は、はい…」
返事を聞くと、安室さん?降谷さん?
あーーもうどっちか分からないけど、彼は満足そうに頷き立ち上がった。
「よし、そろそろお腹も空いてきたし夕飯でも作るか」
「あ、私も手伝います!」
私はキッチンに向かう背中を追いかけた
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ワカ(プロフ) - あの・・・128の次が130になってます (2020年4月23日 20時) (レス) id: 709076fccc (このIDを非表示/違反報告)
たーちゃん - とても、おもしろかったです。これからも、頑張ってください! (2020年3月16日 19時) (レス) id: 66fad934a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アプリコット | 作成日時:2019年5月7日 2時