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だが、「たっくん!!!」と泣き叫ぶ母親の声と「ママ!!」と返事をする子どもの声が聞こえ、私は今の状況に我に返った
電車は目の前に迫ってきている。
私は子どもを抱きかかえ、いちかばちかの覚悟でホームへとジャンプした
ホームへと着地したが、子どもを抱えている重みで再び線路へと落ちそうになる。
近づいてくる電車や、周りの悲鳴、落ちていく感覚、全てがスローモーションに見え、死を覚悟して目を閉じた。
そして、体に衝撃が走る
たが、不思議と痛みがなく驚いて目を開けると
スコッチの顔が目の前にあった
周りからは拍手やら歓喜の声が聞こえた
どうやらスコッチが私たちを助けてくれたらしい
「スコッチ?」
「...ッ、ミモザ無事か!?」
「う、うん。私は大丈夫。それより、ちょっと苦しいかも」
「あ、悪いッ」
彼は私を離すと、私の腕の中にいた男の子が顔をあげた
男の子も無事なようだ
「たっくん...!」
すると、男の子の母親がコケそうになりながらこちらに走ってきた
「ママ!!」
男の子は私の腕の中から出ると、お母さんに抱きついた。
「ごめんね、怖い思いさせて、ごめんね...」
泣きながら男の子を抱きしめた母親を見ていると、目が合い、こちらへ向かってきた
「この度は本当にありがとうございます...。身を挺してこの子のことを守ってくれたこと、本当に感謝しきれません。」
母親は深々と頭を下げた
「顔を上げてください、息子さんの命を助けられてよかったです。どうかこの子のこともちゃんと見ていてあげてください」
私はそういい、立ち去ろうとした時だった。
「お姉ちゃん」
と手を引っ張られ、振り向くと助けた男の子がいた
「どうしたの?」
「助けてありがとう。あのね」
と顔を近づけるよう手招きされ、男の子に合わせて屈む。
すると、ほっぺにチュッとキスをされた
「プレゼント」
と、その子は可愛く微笑んだ
「ふふっありがとう!これからはお母さんから離れちゃダメだよ?」
「分かった!お兄ちゃんもありがとう!」
そういい、男の子は母親の元へ戻った。
私たちは今度こそその場をあとにした。
人目が多くなったホームには目立つので戻れないため、私たちは駅から出て適当に歩いていた。
「スコッチ、さっきは助けてくれてありがとう」
私の前を歩く彼に声をかける
「気にするな。俺こそすぐ反応できなかった、すまない」
「謝らないで、それにスコッチ怪我してるでしょう?」
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作者名:アプリコット | 作成日時:2018年5月25日 17時