鬼殺隊七不思議七番目 ２

どんかん ページ32

炭治郎side

重傷を負った善逸を担ぎながら歩いていると

嗅いだことのあるいい香りの椿の匂いが
ふんわりと鼻をかすめた。Aさんの匂いだ！

すぐさま冨岡さんと善逸に声をかけ
匂いのする方へ駆けると見慣れた集団が目に入った
柱の皆さんだ！玄弥もいる！

『皆さん！ご無事でしたか！！』

「おぉ！！竈門に善逸、冨岡もいるじゃねぇか！！

俺らは派手に上弦の壱を倒した所だ」

上弦の壱を！？


そこから此方で起きた状況を
全て話していたら甘露寺さんに声をかけられた

「ねぇ、三人共ボロボロだわぁAちゃんに
治してもらってきたら？」

そういえばボロボロだし
Aさんとは顔を合わせてなかったな
甘露寺さんの提案に乗り、まずは俺から治療を受ける
こととなった




「ご無事で何よりです。竈門さん」

そう優しく声をかけてくれたAさんだったが
そんなことよりもAさんの腕にしか目が
いかなかった

『どうしたんですか。その傷。』

傷。Aさんの腕に無数にある傷。

刀で傷つけられたものや、火傷の跡。その火傷に
よって生じた水膨れ。キチンと手当てをしてこ
なかったのだろう。傷口が赤黒く変色していたり
腕が異常に腫れている箇所がある
厄介なのは元々Aさんの肌が透ける程白いので
より傷が肌によくうつることだ。

そして、医療なんて一切かじっていない俺でも
傷口の方向や特に傷ついている場所によって分かる

これは、これは


『自傷によるものですよね。』


Aさんは困ったように眉を歪ませ答えた

「ただの古傷ですよ。今更そんな傷どうでも
いいでしょう」


『どうでもいい訳がないだろう!!』


Aさんは驚いて目を見開いている
この際だから思っている事を言ってやろう


『そもそもなんでAさんに"どうしたんですか
この傷"って声をかけたのかわかりますか？
普通は自分にとってどうでもいい人なら何も
言いませんよ！いいですか、よく聞いていて下さいね
俺が貴方に声をかけたのは、Aさんに気が
あるからなんですよ！！大切にしたい、護りたい
色々な想いで貴方を見ているんです！！』

"分かりましたか！"と勢いのまま言ったので
ある一種の酸欠状態に陥り、ぜぇはぁと肩で息を
していると気づいた。勢いに任せて大変な事を
行ってしまったのではないか。と
気軽に"気がある"とか言ったけど
Aさんは友情とかそういう意味で捉えたの
だろうか。はたまた恋愛的な意味か

怒りの矛先と→←護りたい者さ

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