14話 ページ14
_you side
『私は会社に行くので、チーノさんはちゃんとお留守番しててくださいね?』
ci*「むぅ…僕も着いていきます…」
『ダメです』
なんとも心苦しいが、これに限っては仕方の無いこと。
心を鬼にして断り続けていると、ぽつりぽつりとチーノさんが話し始めた。
ci*「…寂しかったんです、ぬいぐるみだった時から…いつもAさんの帰りを家で待つだけなのは嫌なんです…せめて傍に居させてや…」
しゅん、と耳を垂らした子犬のような表情をするチーノさん。
いつもそんなに寂しい思いをさせてしまっていたのか、と申し訳なくなってしまった。
さすがの私もこれ以上断り続けることに罪悪感を感じ、連れて行ってあげたいという考えになった。
でも人間の姿のまま連れていくのは無理があるなと思い、何か解決策はないかと悩んでいた。
ci*「あ、僕ぬいぐるみの姿に戻れますよ」
『それを早く言えぃ…』
ci*「えへへ…」
ぼふんっという音とともに見慣れたぬいぐるみの姿になったチーノさん。
言葉は話せないようだが、自分で自由に身動きは取れるらしい。
この手のひらサイズの姿であればデスクに置いておくこともできだろう。
カバンの中に押し込むのは申し訳ないと思い、優しい手つきでスーツの胸ポケットにそっとしまった。
『人がいる所では動かないでくださいね』
ci*「!!」
手を上にビシッとあげ「は〜い!」と言っているように見える。
可愛い…じゃなくて、これで安心だろう。
玄関で靴を履き、ガチャりと扉を開けた。
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作者名:豆大福 | 作成日時:2021年8月13日 17時