気まま少女の悪女倒しの旅〜東京編２〜

血染めの愛 ページ8

渉くんは今までポケットに隠し持っていた果物ナイフを手に持って僕に向かって走ってきた。


突然の事に誰もが足を竦める。

渉くんから感じられるのは恐怖と狂気。パニック状態になっている。

きっと、僕に目的を知られて作戦通りいけなくなったことに焦ってしまったのだろう…


って、そんな悠長な事考えてる暇はないっ！


我を失ったようにナイフを振りかざしてくる渉くんの攻撃をかわす。




…確か、烏野にいた時にもこんなことがあった気がするよ。

あの時は相手の思考がダダ漏れで、読んで(･･･)避けてた。




でも、今は状況が違くて…


























全て勘(･)で避けてる。



いつ、斬られてもおかしくない。


参ったな…こんなに僕が不利になることは初めてだ。

打開策は浮かばない。解決策も見当たらない。





貴｢…っあ…！｣

避けている時、足が縺れて転んだ。不味い。

非常に不味い。


どうする、三戸江A！立て、立つんだ！





こんな所で死ぬのか！




自分に叱咤して、痛む足をかばいながら立ち上がる…

斬りつけて来る度に皆の悲鳴が耳に吸い込まれてくる。


僕は今、皆を怯えさせている原因の一つ。




どうしようかと迷っているうちにも攻撃は止まない。



それでも、気づいたことが1つ。





狂気の中に潜んでいるのは…


紛れもない『愛』だった。





次の瞬間、突然身体が動かなくなった。



お腹の辺りに感じる焼けるような熱さが…

皆の僕が名前を呼ぶ声が…





僕が、渉くんに刺されたことを物語っていた。

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