気づかないうちに壊れていく。【雪男】【3】 (ページ9)

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ラウールside ページ9

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ラウール「じゃあまた明日！バイバイ」

放課後一緒に勉強していた友達に別れを告げて

一人で2人が待ってる家に帰る。

人で混み合っていて、騒がしいのにどこか静かで寂しい

空間の居心地が悪く、俺はカバンからイヤホンを取り出して

D.D.を聞く。

重なり合う9人の歌声。

それはあまりにも綺麗で…。

歩きながら涙が出てしまいそうになる。

康二くんのパートが来ると、

9時間生配信の下手バージョンを思い出しクスッと笑えた。

あの時みたいに9人で笑い会うことはできない…。

しんみりした気分になった時ふと前を見ると

仕事終わりなのか、ふっかさんが歩いていた。

マスクとサングラスをしているけど

猫背で気だるそうに歩くのは、紛れもなくふっかさんだった。

俺は気まずくなってまた地面に目をやった。

ふっかさんはまだ気づいてないといいけど…。

なんて期待に応えてくれる訳もなく、

一瞬ふっかさんの方へ目をやると

パチッと目が合って、一瞬時が止まった気がした。

サングラス越しのふっかさんの目は鋭くて

見たことないくらい怖い顔だった。

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俺は初めて見たふっかさんに戸惑いが隠せなくて

早足でその場から立ち去った。

そして人通りの少ない道へでた。

その瞬間、俺の中で緊張の糸が解けて

涙がボロボロ出てくる。

泣きたくなんかないのに……。

人通りは少ないとは言っても人はちらほら居る。

人前でなんて泣きたくないのに…。

止まらない涙。

俺はそのまま涙を腕手拭き取りながら

家へ急いだ。

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