第25話 ページ26
｢……おれ、難しいことはよう分からんけど、今の自分の気持ちはよう分かっとるんよ。
おれは今嬉しいんやで、A兄ィ。
お師さんが言ったように、言おうと思ってたこと全部吹っ飛ぶくらい……また会えたんが、すっごく嬉しかったんや｣
『……っ、みか…』
僕の瞳から堪えきれずに溢れた涙が、頬を滑り落ちていく。
あぁ、…またこうして、愛おしい温もりを感じられる日が来るだなんて。
みかは僕の涙を見て驚いたようだったけれど、それを隠すかのようにそっと抱き締めてくれた。
*
｢…影片の脳は相変わらず空っぽだね
僕がアレの立場だったら…きっとAを罵っていただろう、自分の気が済むまで｣
｢……｣
｢……つくづく未完成な兄弟だ。人間としても、人形としても。2人とも、君のように完璧な人形には成りきれないのだろうね。
…あぁ仁兎、美しい僕のマリオネット。
僕はそれでも君と同じくらい、彼らを美しいと、愛おしいと思ってしまうよ。
…おかしな話だ｣
｢(……美しいんだよ、お師さん。
人間らしく、泣いて笑う2人は、ずっと……)｣
*
｢んん……、もういいかね?早く衣装の作成に取りかかりたいのだよ、正直1週間では時間が足りないね。
君が帰宅を取りやめるなら、今から採寸したい｣
『あ…うん、もちろんだよ。採寸、頼んでもいい?』
僕は立ち上がって、メジャーを持つ宗くんの前で腕を広げた。
｢…君は去年からあまり成長していないね｣
『えっ、そんなことないよ!』
｢採寸って…A兄ィ、舞台に立つん? ふふ、嬉しいわぁ、楽しみやわぁ｣
『それは……って、聞いてない…』
｢……ずっと待っていたのだよ、僕達は。君がまたステージに立つことを。
…影片、静かにしたまえ。騒々しくて集中できないのだよ!｣
…あぁ、そうか。
僕がステージに立つのを待っていてくれた人は、僕が思うよりもずっとたくさん、いたんだね。
『(…英智くん。出来ることならこの1週間で、君の考えが変わってくれたらいいのに。なんて、思ってしまうよ。
僕のためにここまで来てくれた君に対して、軽率にこんなことを思うのは、失礼だと思うけれど)』
君が"僕のため"だと言ってくれるなら、僕はそれに全力で答えたいと思ってる。彼の望む形とは違っていたとしても。
僕は君のこと、嫌いなんかじゃないよ。英智くん。
だからこそ、君と向かい合うって決めたんだ
＊
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作者(プロフ) - すみません手違いで以前頂いたコメントへの返信を消してしまいました、、すみませんでした…! (2017年5月22日 20時) (
レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととてもやる気が出ます…!更新頑張ります (2017年5月21日 10時) (レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
栗 - え…神ってる…え…やばい…まず設定からして最高すぎるし、えーちがめっちゃファンで言ったらヤンデレみたいなのらまじで最高です。神です天才なんですか天才すぎます。これからも頑張って下さい！！！！！続き楽しみにしてます！！！！ (2017年5月21日 4時) (レス) id: 057c14ed72 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - そうかここが桃源郷か…(翻訳 とっても面白いです!!!更新待ってます♪) うん。どんな翻訳だよ… (2017年5月19日 15時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - この作品見た瞬間お気に入り登録しちゃいました！ storyが自分的に好きなので無理せずに更新頑張ってください (2017年5月18日 22時) (レス) id: 7d3153bea9 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2017年5月17日 23時
