人望もない、何もない ページ43
昨日、こないだのバレンタイン企画が放送された。
反応が怖かったのは、決して妄想だけじゃない。
OAを見てから、明らかにママの機嫌が悪かった。
『A、テストの方は大丈夫なんでしょうね?』
「うん、準備してるよ」
『頼みますよー、勉強してくれないと。
仕事しながらでも特待生目指すなんて言うから。
さっさと辞めれば、こんなことにならなかったのに』
「…うん、でも大丈夫」
『Aは大丈夫でも、乃木坂はねぇ…
特待生で進学した子を、今まで通りの待遇にしてくれるかな。
学校の都合で参加出来ない仕事が増える。
そしたらそれは、出来る子に回される。
いつまでも、今までみたいにチヤホヤされた扱いじゃなくなるわよ。
乃木坂も今、やっと勢いに乗り出したみたいだし?
別に、あなたじゃなくても務まる仕事ばっかりなんだから。
1人1人が強くなれば、あなたのカードで出す必要性がないもんね』
最近少し、落ち着いていたと思ってたのに。
テストを今週に控え、またチクチクと棘を刺してくるのだ。
今度は、今までとはちょっと違う側面から攻撃を仕掛けてくる。
あなたが出来ないから、ダメだからじゃない。
グループの中でのあなたの市場価値、存在価値が薄れてきていると。
それを言われてしまっては、私はどうすれば良いのか。
『自分がグループでどれだけ信頼されてないか、分かったでしょ?
認めたくないかもしれないけど、あれが現実だからね。
新内さんは、気を遣ってくれただけよ。
きっと、偉い人かなんかに命令されたのよ。
白橋に渡さないと箔がつかないからよろしくって。
泣く泣く妥協してくれたようなもんなんだから。
そうじゃなかったら、あなたの実力なんてこれっぽっちもないんだよ。
1期生はまぁ、ちょっとは恩があるにしろ。
2期生から見たあなたなんて、ただの口だけ番長で意地悪な先輩なんだから。
人望どころか、人として尊敬出来る点が皆無ってこと。
あなただって、泣くほどそれは身に染みてるんでしょう?』
言い返せなかった。
どこかで自分も、事実かもしれないと思っていたから。
認めるのが嫌だった、怖かった。
悔しかったから、無言を貫いた。
私が思うのは勝手だけど、なんでママから指摘されなきゃいけないんだ。
チョコを1個も貰えなかった人は、もっとたくさんいたのに。
どうして私の1個は、忖度されたヤラセだって決めつけるんだ。
まいちゅんは本気で私にくれたのに失礼すぎる。
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年3月28日 18時