259 ページ9
、
「まあ、あなた。こんなことを申し上げるのは、なんですけど、あなたがこのお教室に最初に現れた時から、はっきりわかっていたことでございますわ。あなたには『占い学』という高貴な技術に必要なものが備わっておりませんの。まったく、こんなに救いようのない『俗』な心を持った生徒に、いまだかつてお目にかかったことがありませんわ」
一瞬の沈黙。そして──。
「結構よ！」
ハーマイオニーは唐突にそう言うと立ち上がり、「未来の霧を晴らす」の本をカバンに詰め込みはじめた。
「結構ですとも！」
再びそう言うと、ハーマイオニーはカバンを振り回すようにして肩に掛け、危うくロンを椅子から叩き落としそうになった。
「やめた！ 私、出ていくわ！」
クラス中が呆気にとられる中を、ハーマイオニーは威勢よく出口へと歩き、撥ね戸を足で蹴飛ばして開け、梯子を降りて姿が見えなくなった。 全生徒が落ち着きを取り戻すまで、数分かかった。トレローニー先生は死神犬のことをころっと忘れてしまったようだ。ぶっきらぼうにハリーとロンのいる机を離れ、透き通ったショールをしっかり体に引きよせながら、かなり息を荒らげていた。
「おおおおお！」
突然ラベンダーが声をあげ、みんなびっくりした。
「おおおおおおお、トレローニー先生。わたし、いま思い出しました。ハーマイオニーが立ち去るのを、ご覧になりましたね？ そうでしょう、先生？ 『イースターのころ、誰か一人が永久に去るでしょう！』先生は、ずいぶん前にそうおっしゃいました！」
トレローニー先生は、ラベンダーに向かって、儚げに微笑んだ。
「ええ、そうよ。ミス・グレンジャーがクラスを去ることは、あたくし、わかっていましたの。でも、『兆』を読み違えていればよいのに、と願うこともありますのよ。……『内なる眼』が重荷になることがありますわ……」
ラベンダーとパーバティは深く感じ入った顔つきで、トレローニー先生が自分たちのテーブルに移ってきて座れるよう、場所を空けた。
Aは『占い学』の授業を終えたあと、夕食の席でハーマイオニーのもとへ向かった。
「占い学をやめるって、どういうことだ？ どうするつもりだ？」
「ええ、私、あの馬鹿げた授業に出席するのをやめるわ」
Aが眉をしかめた。
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1091人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
太陽(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！作者さんのおかげで、フレッド＆ジョージの良さに気づけました！！まじで最高です！ (2月18日 0時) (
レス) @page46 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - セラピーさん» うわー！！私の作品がきっかけになれてとてもうれしいです！！ありがとうございます😭😭💕更新頑張ります！！ (1月31日 5時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
セラピー(プロフ) - とっても面白いです。この作品に出会ってからフレッド＆ジョージの素晴らしさに目覚めました。続き頑張ってください！ (1月30日 21時) (レス) id: c35619f4b1 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - ますしんさん» ウワー！ありがとうございます！😭長いのに一気に見ていただけて…嬉しいです…💕ありがとうございます…！更新おまたせしてしまっていますが、がんばります…！！！！😭💕 (1月29日 7時) (レス) @page50 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
ますしん(プロフ) - この作品がとっても大好きになってしまいました。続きが気になって気になって夜も眠れません…でもご無理せず！応援しております！！！ (1月22日 1時) (レス) id: 3a092db897 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鵲
| 作成日時：2023年11月15日 3時
