058 ページ8
、
「僕達の両親が、どうして良い関係を築けていないのか、わかるかい？」
Aは答えを知っていたが、あえて何も言わなかった。マルフォイは勝手に続けた。
「カルディア家が、“血を裏切っている”からさ。そうだろう？」
マルフォイは、ちょうど近くにいたロン・ウィーズリーに聞こえる声で言った。ウィーズリー家は、“血を裏切る者”の代名詞として有名だ。
「だけど最近、君に関するある噂が流れていてね──興味が湧いたんだ。君は純血主義者なのかい？」
おおかた、フィオナとの一件のことだろう。Aはとっとと済ませたくて、早口で答えた。
「ああ、そうだ、だから家のことで何を言われたって、私にとって大した問題にはならない。血を裏切る者だとかそういうのも、勝手に言ってればいい。もういいか？」
「まあ、そう急ぐな。どうやら僕は、君のことを誤解していたらしい──」
マルフォイはAの方に歩み寄ると、手を差し出した。
「君がマグルを擁護する馬鹿げた思想の人間だと──しかし、組分け帽子は判断を見誤ったようだ──君にグリフィンドールは居心地が悪いだろうね？ 君は特別に──僕らの仲間に入れてあげるよ」
Aはマルフォイの手をじっと見つめた。
ドラコ・マルフォイ──純血名家、マルフォイ家の息子だ。お互いの両親は、そこまで仲良くない。というよりも、関係は最悪だ。だというのに、そんなカルディア家の娘であるAと仲良くなろうとしているのは、きっと、カルディアの人間全体の思想を除けば、この家は権力的にも魔法界では上位だからだ。彼は、家柄がいい友人を選んでいるのだろう。
──彼の手を取ったら、両親は腹を立てるだろうか？Aは考えた。そして、連日の両親への反抗的な感情が、心の中で渦巻いていくのを感じた。もともと自分はスリザリンに入りたかった……もし自分があの寮に入っていたなら、彼とはもうすでに、友人だったかもしれない。
それに──どうせ、フィオナを「穢れた血」と呼んだ自分を肯定する人間は、彼らだけだ。
「よろしく、カルディア」
Aがマルフォイの手を取ると、マルフォイはまた意地の悪い笑みをAに向けた。
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 571人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鵲(プロフ) - あんみつさん» ここの二人を複雑な関係性にしたかったので嬉しいです…🩷💖ありがとうございます😭😭💓 (7月3日 17時) (
レス) @page50 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - フィオナが悪い子じゃないのはわかるけど夢主ちゃんの気持ちを思うとスッゴくもやもやする〜!!でもこのモヤモヤが最高です！ (7月3日 16時) (レス) @page43 id: 8881878887 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - kokonaさん» ひゃぁ〜ありがとうございます…💕💕可愛く書けてたら嬉しいです‼️😭😭🩷🩷 (7月3日 5時) (レス) @page46 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
kokona(プロフ) - ヒロインちゃん可愛すぎる……大好きです😭 (7月1日 23時) (レス) @page32 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - ぽてとさん» 初コメありがとうございます‼️💕ひゃー嬉しいです😭🩷🩷ありがとうございます🩷🩷がんばります‼️‼️‼️‼️😭😭😭🩷🩷 (6月29日 1時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鵲
| 作成日時：2023年6月16日 2時
