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───九月一日、Aはコンパートメントに一人で座っていた。Aに近寄りたがる生徒がいないので、一人でコンパートメントを独占できるのは、Aにとって好都合だった。一人で本を読んでいると、突然コンパートメントの扉が開いて、ドラコ・マルフォイがやってきた。
「A、こんなところにいたのか。ずいぶん探したよ」
Aは顔を上げてドラコを見た。いつものように、脇にクラッブとゴイルの二人を連れている。
「僕達のコンパートメントに来ないかい? 他のスリザリン生もいるけど、みんな君と話してみたいって」
「悪いけど、ドラコ」
Aはもう一度本に目を戻した。
「私、ホグワーツに着くまでにこの本を全部読んでしまいたいんだ」
「だけど──」
「あ、A!」
ドラコの背後で声がした。Aが眉を寄せてまた顔を上げると、フレッドとジョージが、少し息を切らしながらやって来ていた。
「この前ぶりだな。また一人で座ってるのかい?」
「もうどこも空いてないんだ。悪いけど、座らせてもらうぜ」
そう言いながらズカズカとコンパートメントに入ってくる双子に、Aだけでなくドラコも憤慨した。
「礼儀のなってない奴らだ。さすがウィーズリー家の連中だな。A、僕のコンパートメントに行こう。こんな奴らと同じ場所にいるくらいなら、そっちのほうがいいだろう?」
「なんだ、マルフォイの息子か」
フレッドはまるで今ドラコに気がついたというように真顔で言った。
「悪いけど、俺達Aに話があるんでね──帰った帰った」
「お前たちこそ帰れ」
Aは既に当たり前のように席に座っている双子を睨みつけた。
「お前たちがここに座っていいなんて、私は許可してない」
「まあまあ、そう固いこと言うなよ。俺達の仲じゃあないか」
「ふざけるな!」
「A、君も大変だな」
ドラコは同情するように肩をすくめた。
「こんな品のない連中に付きまとわれているなんて。同情するよ」
「品がないのはお前の方だろ、マルフォイ」
ジョージが杖を取り出してマルフォイの方に向けた。
「それ以上なんか言ったら、お前のその髪を真っ黒に焦がしてやるぞ。言っとくけど、俺達は本気でやるからな」
ドラコは少し後ずさると、鼻を鳴らしてコンパートメントを出て行った。
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鵲(プロフ) - あんみつさん» ここの二人を複雑な関係性にしたかったので嬉しいです…🩷💖ありがとうございます😭😭💓 (7月3日 17時) (レス) @page50 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - フィオナが悪い子じゃないのはわかるけど夢主ちゃんの気持ちを思うとスッゴくもやもやする〜!!でもこのモヤモヤが最高です! (7月3日 16時) (レス) @page43 id: 8881878887 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - kokonaさん» ひゃぁ〜ありがとうございます…💕💕可愛く書けてたら嬉しいです‼️😭😭🩷🩷 (7月3日 5時) (レス) @page46 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
kokona(プロフ) - ヒロインちゃん可愛すぎる……大好きです😭 (7月1日 23時) (レス) @page32 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - ぽてとさん» 初コメありがとうございます‼️💕ひゃー嬉しいです😭🩷🩷ありがとうございます🩷🩷がんばります‼️‼️‼️‼️😭😭😭🩷🩷 (6月29日 1時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鵲 | 作成日時:2023年6月16日 2時