077 ページ27
、
ドラコの父親だ。ドラコの肩に手を置き、ドラコとそっくり同じ薄ら笑いを浮かべて立っていた。
「ルシウス」
アーサーは首だけ傾けて素気ない挨拶をし、Aの父、アルフレドもまた同じような挨拶をした。
「お役所はお忙しいらしいですな。あれだけ何回も抜き打ち調査を……残業代は当然払ってもらっているのでしょうな?」
ルシウスはジニーの大鍋の中に手を突っ込むと、豪華なロックハートの本の中から、使い古しのすり切れた本を一冊引っ張り出した。変身術入門だった。
「どうもそうではないらしい。なんと、役所が満足に給料も支払わないのでは、わざわざ魔法使いの面汚しになる甲斐がないですねぇ?」
アーサーはロンやジニーよりももっと深々と真っ赤になった。アルフレドがアーサーを横目で見て、一歩前に出た。Aと同じ真っ赤な瞳が、ギラギラと怒りで燃えているが、Aとはまた少し違う雰囲気だった。
「マルフォイ、魔法使いの面汚しがどういう意味かについて、私たちの意見は違うようだ」
「さようですな」
ルシウスの薄灰色の目は、フレッドの隣にいたフィオナに移り、次に心配そうになりゆきを見ているグレンジャー夫妻のほうに移った。
「こんな連中とつき合ってるようでは……君たちの家族は、もう落ちるところまで落ちたと思っていたんですがねぇ──」
ジニーの大鍋が宙を飛び、ドサッと金属の落ちる音がした。アーサーがルシウスに飛びかかり、その背中を本棚に叩きつけていた──分厚い呪文の本が数十冊、みんなの頭にドサドサと落ちてきた。
「やっつけろ、パパ!」
フレッドかジョージかが叫んだ。「アーサー、だめ、やめて!」とモリーが悲鳴をあげている。アルフレドがとっさに、アーサーを引き剥がそうとしたが、手こずっていた──人垣がサーッと後ずさりし、弾みでまた本棚にぶつかった。
「お客様、どうかおやめを──どうか!」
店員が叫んだその時、ひときわ大きな声がした。
「やめんかい、おっさんたち、やめんかい──」
ハグリッドが、本の山をかき分けながらやってきた。ハグリッドはあっという間にアーサーとルシウスを引き離し、喧嘩を沈めた。アーサーは唇を切り、ルシウスの目には、「毒きのこ百科」でぶたれた痕があった。ルシウスの手にはまだ、ジニーの「変身術」の古本が握られていた。
、
571人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鵲(プロフ) - あんみつさん» ここの二人を複雑な関係性にしたかったので嬉しいです…🩷💖ありがとうございます😭😭💓 (7月3日 17時) (レス) @page50 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - フィオナが悪い子じゃないのはわかるけど夢主ちゃんの気持ちを思うとスッゴくもやもやする〜!!でもこのモヤモヤが最高です! (7月3日 16時) (レス) @page43 id: 8881878887 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - kokonaさん» ひゃぁ〜ありがとうございます…💕💕可愛く書けてたら嬉しいです‼️😭😭🩷🩷 (7月3日 5時) (レス) @page46 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
kokona(プロフ) - ヒロインちゃん可愛すぎる……大好きです😭 (7月1日 23時) (レス) @page32 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - ぽてとさん» 初コメありがとうございます‼️💕ひゃー嬉しいです😭🩷🩷ありがとうございます🩷🩷がんばります‼️‼️‼️‼️😭😭😭🩷🩷 (6月29日 1時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鵲 | 作成日時:2023年6月16日 2時