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二人は何か言おうと口を開いたが、Aの表情を見てつぐんだ。Aがあまりにひどい顔をしていたので、驚いたのかもしれない。Aは二人から目をそらすと、そのまま談話室を出て、廊下を歩いた。途中の道で──今度はドラコたちと遭遇した。
「やあ、A、試験、二位だったんだって？」
ドラコがニヤッとした。Aは今まさに、一番話題にされたくないことを話題にされて、心底苛立っていた。
「君なら一位を取れるんじゃないかと思ったけど、そんなことはなかったな──まあでも、二位なら──」
Aはドラコが全て言い切る前に横を通り過ぎた。ドラコが怪訝そうに眉をひそめたが、Aの様子を見てから、それ以上何も言わなかった。Aは誰もいない女子トイレに入ると、近くに置いてあった水とモップの入ったバケツを蹴り飛ばして鬱憤を晴らした。水がトイレの床を濡らし、水たまりを作った。バケツが大きな音を立てたあとにガラガラと床に転がる。
洗面台に手をついたAは、そこで鏡の前の自分の顔を見た。目の下の隈はひどいもので、顔もやつれて、青白く、怒りで歪んだ顔は醜くすら見えた。赤黒い瞳が奥でゆらゆらと燃えている。この行き場のない怒りをどうすれば晴らせるのか分からなくて、Aは思わず、自分の手の甲を反対の爪で引っ掻いた。
頭に血が上っていくのが自分でも分かった──屈辱でどうにかなってしまいそうだった──フィオナを思い出すたびに、Aの中での怒りが蓄積されていって、どれほど吐き出そうと永遠に消えはしないようにすら感じた。
Aは浅く短い息を何度も吐き、今度はトイレの鏡を手で殴った。手はひどく痛んでいたはずなのに、Aはそれにすら気づいてはいなかった……ぽたぽたと自分の手から垂れ落ちる、自分の瞳と同じ色をした真っ赤な血を見つめながら、Aは歯を食いしばった。
───ずっと努力してきたのに──フィオナが魔法のことを知るずっと前から──物心ついた頃から、ずっと勉強してきたのに──それなのにどうして、フィオナに何一つ勝てないんだろうか？ 努力なんて、結局、生まれつきの才能の前では報われないのだろうか？Aは考えて、俯いた。
今になって、硝子の突き刺さった手はじわじわと痛み出していた。
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鵲(プロフ) - あんみつさん» ここの二人を複雑な関係性にしたかったので嬉しいです…🩷💖ありがとうございます😭😭💓 (7月3日 17時) (
レス) @page50 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - フィオナが悪い子じゃないのはわかるけど夢主ちゃんの気持ちを思うとスッゴくもやもやする〜!!でもこのモヤモヤが最高です！ (7月3日 16時) (レス) @page43 id: 8881878887 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - kokonaさん» ひゃぁ〜ありがとうございます…💕💕可愛く書けてたら嬉しいです‼️😭😭🩷🩷 (7月3日 5時) (レス) @page46 id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
kokona(プロフ) - ヒロインちゃん可愛すぎる……大好きです😭 (7月1日 23時) (レス) @page32 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - ぽてとさん» 初コメありがとうございます‼️💕ひゃー嬉しいです😭🩷🩷ありがとうございます🩷🩷がんばります‼️‼️‼️‼️😭😭😭🩷🩷 (6月29日 1時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鵲
| 作成日時：2023年6月16日 2時
