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「五人に追跡されたが二人を負傷させた。一人殺したかもしれん」
キングズリーは一気に話した。
「それに、『例のあの人』も目撃した。あいつは途中から追跡に加わったが、たちまち姿を消した。リーマス、あいつは――」
「飛べる」
ハリーが言葉を引き取った。
「僕もあいつを見た。ハグリッドと僕を追ってきたんだ」
「それでいなくなったのか――君を追うために!」
キングズリーが言った。
「なぜ消えてしまったのか理解できなかったのだが。しかし、どうして標的を変えたのだ?」
「ハリーが、スタン・シャンパイクに少し親切すぎる行動を取ったためだ」
ルーピンが答えた。
「スタン?」
ハーマイオニーが聞き返した。
「だけどあの人は、アズカバンにいるんじゃなかったの?」
キングズリーが、おもしろくもなさそうに笑った。
「ハーマイオニー、大量脱走があったのは間違いない。魔法省は隠蔽しているがね。私の呪いでフードが外れた死喰い人は、ウィータだった。アーロン・ウィータだ。あいつも収監中のはずなのだが」
Aは外から聞こえる彼らの会話で、おどろいて顔を上げた。
「ところで、リーマス、君のほうは何があったんだ? ジョージはどこだ?」
「耳を失った」
ルーピンが言った。
「何をですって――?」
ハーマイオニーの声が上ずった。
「スネイプの仕業だ」
ルーピンが言った。
「スネイプだって?」
ハリーが叫んだ。
「さっきはそれを言わなかった――」
「追跡してくる途中であいつのフードが外れた。セクタムセンプラの呪いは、昔からあいつの十八番だった。そっくりそのままお返しをしてやったと言いたいところだが、負傷したジョージを箒に乗せておくだけで精一杯だった。出血が激しかったのでね」
四人は、空を見上げながら黙り込んでいた。何も動く気配はない。星が、瞬きもせず冷たく見つめ返すばかりで、光を過って飛んでくる友の影は見えない。
「ハリー、手を貸してくれや!」
ハグリッドがまた勝手口につっかえて、かすれ声で呼びかけた。
ハリーはハグリッドを外に引っ張り出し、誰もいない台所を通って居間に戻った。おばさんとAはジョージの手当てを続けていた。おばさんの手当てで、血はもう止まっていたが、ランプの明かりの下で、ジョージの耳があったところにぽっかり穴があいているのが見えた。
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鵲(プロフ) - ウルさん» ワッ…‼️ありがとうございます😭🙏💖💖徹夜で…嬉しいです…がんばります😭🙏💓 (2023年5月9日 2時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - 神崎さん» 通知を見逃しており返信遅れてすみません‼️😭ありがとうございます!😭😭💓💓 (2023年5月9日 2時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
ウル(プロフ) - 長い間このような素晴らしい作品を探していたのだと思います。映画ではなく本の内容で、ストーリーに忠実に、話を歪めることなく文才溢れる作者さんを。昨日の昼から徹夜で一気読みしました。応援しています。 (2023年5月6日 20時) (レス) id: 17e5f8d5e9 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - シリアスなストーリーの中、少しでも双子との会話が心温まります😊 (2023年4月16日 17時) (レス) @page43 id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鵲 | 作成日時:2023年4月16日 2時