寂寞のアイソレーション３ (ページ32)

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石の螺旋階段の一番上で降り、マクゴナガル先生が扉を叩いた。音もなく扉が開き、二人は中に入った。マクゴナガル先生は待っていなさいと、ハリーとAをそこに独り残し、どこかに行った。

「ごめん、A。君まで──」

「ハリーのせいじゃない」

Aが即座に言った。二人はあたりを見回した。そこは広くて美しい円形の部屋で、おかしな小さな物音で満ち溢れていた。紡錘形の華奢な脚がついたテーブルの上には、奇妙な銀の道具が立ち並び、くるくる回りながらポッポッと小さな煙を吐いている。壁には歴代の校長先生の写真が掛かっていたが、額縁の中でみんなすやすや眠っていた。

大きな鉤爪脚の机もあり、その後ろの棚には、みすぼらしいボロボロの三角帽子が載っている。「組分け帽子」だ。ハリーはそっと机の後ろに回り込み、棚から帽子を取り上げ、そろそろとかぶりはじめた。

「何か、思いつめているね？ハリー・ポッター」

「えぇ、そうです」

ハリーは口ごもった。Aはハリーを見つめて首を傾げた。

「あの──おじゃましてごめんなさい──聞きしたいことがあって──」

「わたしが君を組分けした寮が、間違いではないかと気にしてるね」

帽子はさらりと言った。

「さよう……君の組分けはとくに難しかった。しかし、わたしが前に言った言葉はいまも変わらない──君はスリザリンでうまくやれる可能性がある」

ハリーはその瞬間、帽子のてっぺんをつかんでぐいっと脱ぐと、薄汚れてくたびれた帽子が、だらりとハリーの手からぶら下がっていた。気分が悪くなったというように、ハリーは帽子を棚に押し戻した。

「あなたは間違っている」

動かず物言わぬ帽子に向かって、ハリーは声を出して話しかけた。

「大丈夫か？」

「あ、うん……」

Aがハリーに声をかけると、ハリーは慌てて返事をした。Aは帽子を見つめた。

「私、スリザリンに組分けされると思ってた」

Aはぼんやり言った。

「うちの家系は代々スリザリンだったから。どうして私は、グリフィンドールなんだろうって、ずっと思ってた。今でも、少し思う」

ハリーはその言葉を聞くと、帽子をもう一度取った。

「君も被ってみたら？」

Aは帽子を見た。帽子はハリーの手の中でじっとしていた。Aは一瞬考えて、首を横に振った。

「怖いんだ」

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