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Aのトランクを軽々しく持ち上げた双子の片割れは、ちらっとAを見たあとニッコリした。
「やってあげるよ。このトランク、君一人じゃ多分持ち上がらないし──ジョージ、片側持ってくれ」
ジョージと呼ばれた男の子は返事をしてトランクの片側を持ち上げた。二人は列車の中へトランクを運んでくれた。
「ありがとう」
Aが礼を言うと、二人はにっこりした。やがて二人は、Aと同じようにトランクを押し上げるのに苦労している黒髪の男の子の方へ向かっていって、運ぶのを手伝い始めた。それを見つめたあと、Aはコンパートメントに入り、窓から顔を覗かせた。
他の子たちが、窓からよじ登ったり出たりして、両親と話をしている。
「A、席が見つかったようね──良かった──まあ、A！」
母親の姿を見つけ、周りの子と同じように窓から出ようとしたAを、エリザは慌てて引き止めた。
「なんて行儀の悪い……周りの子がそうしているから真似したのね！ ああ、ここは本当に悪影響だわ……下品な子供ばかり……純血の家系の子供はこんなことにならないのに……なんてみっともない……」
「あ、ご、ごめんなさい、か、かあさま」
母親の突然の叱責にAがおどおどして涙目になると、エリザはAの目元を拭いながら言った。
「泣くのはよしなさい。次からは絶対にこのようなことがないようにね──周りの子どもたちの真似をしてはいけません。いいわね」
「……はい」
Aはしゅんとしながら頷いた。
やがて汽笛の音が聞こえると、周りの子どもたちが家族に背中を押されて窓をよじ登った。それを睨みつけてブツブツ文句を言いながら、エリザはAから手を離した。
「いいわね、お行儀よくしなさい。マルフォイ家の息子さんとも仲良くすること。いいわね──何かあれば手紙を書いてね」
Aは小さく「はい」と返事をした。子どもたちが母親から別れのキスを受けたり、父親と抱き締めあったりしている中、エリザはただ手を振るだけだった。Aはそれをぼーっと見つめながら、やがて列車が角を曲がると、ゆっくり席に座り込んだ。なんだか、もうすでに疲れてしまった。
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鵲(プロフ) - 秋さん» 私の趣味です…🙏🙏🙏 (1月21日 16時) (
レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
秋 - とても面白いのですが、主人公の口調が男の子っぽいのには何か理由がありますか？？ (1月21日 15時) (レス) id: fd804455da (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - まだ初め部分しか読んでいませんが、こちらもとても面白い物語だと確信しているのですごく楽しみで、また一気読みになりそうです。こんな素晴らしい作品を作っていただきありがとうございます。 (2022年1月31日 18時) (レス) id: 6f2367cc34 (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - 随分遅れてしまいましたが新作おめでとうございます。前作(愛憎のフィナーレ)から飛んでこの作品を見つけました。前作はとても素晴らしい作品で何度も涙ぐみながら一気読みしました。そしてそんな物語を作れる作者様の新作！ (2022年1月31日 18時) (レス) @page10 id: 6f2367cc34 (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - メロンソーダさん» ありがとうございます！！わわ！！過去作も…！！ありがとうございます！うれしいでず😭😭🙏💕💕 (2021年10月20日 20時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鵲
| 作成日時：2021年10月8日 3時
