【wrwrd!】オレ、天使。3 【男主】 (ページ45)

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夢にまで見た : エーミールside ページ45

Aの過去を払拭することができるかもしれない
…というのは建前で、
Aがいれば、そこに母親の面影を見つけることができるかもしれないから

エミ「だから、貴方についてきてほしい」

-

承諾してくれたAと、新しく作った船とともに、俺は今海の上にいる
季節は春
処女航海にはもってこいの季節だ

「海！！！爽快な景色だ！！！」

エミ「あれ、あまり海側には行かないん？」

我々の国は二方に山岳、一方に森、そして一方に海を有する国であり、自然条件に富んでいる
自然要塞の役割も担える程の立地条件だ

てっきりコネシマさんなんかが既に海に連れて言ったものだと思っていたが

「ここにきてからは一度も。それにしても春の海は風がいいねェ」

Aには彼の過去を探る、という目的は伝えなかった
きっと身構えてしまうから
まぁ、回を重ねるうちに気づいてしまうと思うけれども

船は進む
母の故郷の島へと

俺はまだそこへたどり着いたことはない
母がいつか連れていってくれる筈だったのだが、いつの間にかその約束は波に飲まれてしまった

「…楽しみだね」

エミ「フフ、それなら良かった」

俺は…少し怖い、なんて言葉は海魚の餌にしてしまおうか

-

海岸に船をつける
海からでも見えたあの城は、異様な雰囲気を放っていた

「…思い出してきた、この国のこと」

エミ「本当？資料でしか見たことがないので俺にはわかりませんが」

「だいじょうぶ、付いてきて」

俺たちは進む
草木を分けて、瓦礫を避けて
所々に広がる戦の跡、搾取の痕

かつてここを支配した国は滅び、別の国の傘下となった
そしてその国も滅び、この地は文明の軌跡を残して荒廃した

案内されたのは、広場と思しき場所
周囲の家は崩壊して、樹木の巣と化している

Aは、目立つ場所にあった壊れた石の前に立つ

「これが、かつてのオレだよ」

エミ「ああ、確かAは昔像として祀られたんでしたっけ」

「そうそう、君の母さんはね、ここにこうして花を置いてくれたな」

そういってAは石を撫でる
俺も笑いながら過去の彼の栄光に跪いてみた

「ふふ、あの頃を思い出すなァ…やっぱり君は母さんに似ているよ、優しくて、聡明な様子が」

エミ「似てへんよ、母の方がきっと優れていた」

「そういう謙虚なところもだよ」

エミ「オレなんてそんなやで…そんなことより、あの城に行きましょう！！今まで世に出されなかった資料があるかもしれない！」