【wrwrd!】オレ、天使。3 【男主】 (ページ30)

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刹那的なよろこび : 鬱side ページ30

「ねーえ、でも大先生、街の女の子たちにも同じこと言ってるんでしょ？」

…は！！！

鬱「え、あ、いやだなぁAくん、そんな子ら僕にはおらへんよぉ…」

折角感動の瞬間を皆様にお届けしたいと思ったのにこれだ

まぁ俺が悪いんやけどな…いや、どうだろう
別にあっちから寄ってくるんやしあっちもそれを了承しているのだから俺が悪いわけでは…

「オレもそうだったよ、昔」

鬱「え？」

「ああ、オレも昔はそうだった。とにかく早く人間になりたくて、誰にでも色目を使った…男でも女でも。いっときは満たされて、気持ちもいいし」

鬱「…そうやな」

「でもなんでだろう？我が主はそれは最適解ではないと…今までオレのやることに口を出さなかった我が主は、その一度だけ、オレに言ったんだ…それは適正解ではあるが最適解ではない、と」

…はぁ、どうやら此の世界を創ってるやつは、俺らのどうしようもない性分を適正解だとは思っているらしい

鬱「そうかぁ、適正解…かぁ…」

「そうらしい。だからやめた。でもたまに、本当に俺のやることはだめだったのかって、思ったりするけど」

適正解、なぜそうか？
多分一時の欲は生物の繁栄のために必要なものだから
でも、俺たちは、

鬱「…俺は」

「ん？」

鬱「あのな、A。此のやり方はある意味で刹那主義や…その場一瞬が幸せであればいいってやつ
でも俺らはそうじゃない、人間は思ったよりも長く生きるから。そう簡単に死ぬことができないから」

そう、俺たちは人間だから
最後の一瞬を幸せに生きるために努力すべきなのだろう
多分、理性はそのためにあるのだ

鬱「せやからさ、その体はできるだけ大事にしような。これも人間になるためには大切なことやで」

おまけに語尾にウィンクをつけて、精一杯、核心に触れないようにして話す
答えは彼に見つけて欲しい

「大先生の話、たまに難しいねェ」

まぁ、そうやろな
仕方ない、今はそれでもいい

「でも、少し安心した、ありがとう
大先生って、お兄さんみたいだ！」

鼓動が高鳴る

お兄さんみたいだ、なんて、
これはもう、Aに近しい存在になれているに等しいじゃないか

…ああ、散々Aに大口を叩いたのに
愚かにも少しだけ、Aを快楽に突き落として仕舞えば、と思ってしまった

まぁ、そんなことせえへんけどな

だって僕、Aのお兄さんやから

ー調査報告ー

首の傷は悪魔による侵食の痕である