【wrwrd!】オレ、天使。3 【男主】 (ページ21)

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庇護 : シャオロンside ページ21

「シャオさん、聴こえるね？眼を開けてみて」

声に従うと、Aがいた
その髪は真黒、その翼は真白、
はっきりとわかる
本物の、Aだ

「ああ、良かった。帰ってこれたね、シャオさん」

何故かわからないけど、涙が出た
随分と長い間、彼を直視していなかった気がするから

「混乱するかもしれないけど、現状を説明するね
シャオさんはいつからか魔物に心を巣食われていた」

『…なんとなくわかってた、甘美な言葉につられたんや、抗ったりもしたけど、一人ではどうしようもなかった』

「うん、ちゃんとわかってるよ…でもいまその魔物は出ていった。シャオさんの心が戻ってきたんだ」

『Aが、助けてくれたんだな』

「オレだけじゃない、皆もシャオさんのために戦った」

『なら、早く目を覚まさないと！
お礼、言いそびれるかもしれない』

「…そうだね！じゃあ、いってらっしゃい」

『なんで？一緒に行こうや……向こうで、Aに言いたいことあんねん』

「オレは、あとでちゃんと行くから」

『そっか！
わかった。俺、Aのこと信じとるからな』

その答えを聞く前に、俺の意識は途切れる
ああ、やっと、解放されるのか
劣等感に纏わりつく、耳障りな脅威から
やっと、伝えられるのか
Aにちゃんと、俺の思いを

-

鈍い痛みで目が覚めた
空は暗い
風が冷たい

シャオ「俺…帰ってこれた」

へたりと座り込んでいる俺の前方に言い争う声が聴こえる

ひと「なんでだよ！！！！助けないと！！！！」

グル「手を出すなという指示を忘れたのか、どうすることもできないだろ！！」

トン「二人とも少し冷静になった方がええで、まだ予断は許されない…」

オス「…！！シャオちゃん…！！」

少し眼球を動かしてまた気づく
ああ、なんだ、みんなおるやん
みんな、迷惑かけてごめんな、と言おうとしたが
そいつらの視線の先を見て、肩の重さを知覚して、その言葉は消え去った

俺の肩に寄りかかっている物体
煤けたように真っ黒になったAの姿

シャオ「…A？」

な、何で？さっきA、言うたやん、あとでちゃんと行くからって
俺、戻ってこれたよ？次、Aの番やんか

シャオ「…シッマ、Aは…何で動かないん？」

コネ「シャオさん…」

シャオ「エミさんならわかるやろ？エミさんめっちゃ頭ええやんか」

シャオ「グル氏、教えてや、俺、どうしたらええの」

その問いかけには、誰も答えてくれなかった