【wrwrd!】オレ、天使。3 【男主】 (ページ20)

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真っ暗

手探りで、進むべき道を探す
あたたかい感触がする方へ

何かを掴んだ時、世界は明転した
目の前にはAがいる、皆がいる

…そうだ、皆に見せつけてやろう
Aが俺のものだということ

Aを手招きして唇を押し付ける
最初は手の平、手首…そしてその白い喉元に
Aは俺を受け入れる
誓いのキス、その唇は甘い…飲み込まれそうだ
Aは俺に身を差し出す
胸に、腰に、俺のしるしを

上手くしるしがつかないのは…きっとAが手に入ったのが嬉しすぎるからだろう
だって、思うように力が入らない

視界が暗転した
スポットライトが目の前を照らす
眼球に映るのは、A…じゃない
Aの羽根は眩しいほど輝く白色だが、此奴の羽根は煤けた黒だ

Aはどこだ、どこにいってしまった？
俺から離れてしまうのか？愛を誓ったはずなのに

「シャオさん」

俺はAを探してるんだ…忙しい、近寄るな

「帰ろう、シャオさん」

帰る？
帰るも何もここは俺の場所、帰る場所はここだろ？

「帰れば皆がいるよ、ちゃんとオレもいる。みんな心配してる」

さっきまで皆もAもいたじゃないか、やだなぁみんな、俺を驚かそうとしてるんだろ

「君は目を覚ませるはずだよ、眼を開いて、現状を確かめる力があるはずだ」

耳鳴りが響く
あれ、俺は何をしている？ここは何処だ？
誰だ、俺に語りかける二つの声は
耳障り、どちらも耳障りだ

-惑わされるな、さっきも言っただろう…此奴等は君を嘲笑する、君の言葉を、感情を-

「君は唯一無二だ、こんなところに居たらだめだ」

-ほら見ろ、此奴等は君を否定する。今まで何度もそうだっただろ-

「君が大事にした、人との繋がりの大切さを…君は自ら切ってしまうの？」

煤けた黒い羽根を持った異形が俺に近づく
サイレンが鳴る、危険、危険、危険、

異形は俺の首元に噛み付く
何かが出て行く感覚、
不快だ
もう誰も信じられない
信じたくないんだ
嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

喉から、音が出る、世界を諦めた音が

『あぁあぁぁあぁあぁぁ！！！！！！！』

「大丈夫、ぼくが守るよ」

『グっがあアッ…グ、アアあぁァあア…』

「ぼくなんて、信じなくてもいいよ、嫌われるのなんて慣れっこだ…でもぼくは、シャオさんのこと信じるよ。君だって、ぼくにそう言ってくれたでしょ？」

ばつん、と視界が閉じる

耳障りな声が消えた

その代わりに聞こえたのは
子守唄のように響く優しい声だ