黒兎と私。 (ページ9)

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そんな曖昧かつ強引な誘いの後、

ジョングクは普通に帰って行った。

未だに現実味がないっていうか、

夢でも見てたような。

「……おはよう、チョンくん」

「おはよ」

やっぱり昨日の夢だったんじゃない？

相変わらずこっちを見ないし。

まさかチョンジョングクって双子？まさか。

私のことも知ってたし、多重人格？

あまりにも素っ気なさすぎて

私の妄想ばっかり広がっていく。

……全部、私の妄想じゃないよね？

「……チョンくんって昨日の夜何してた？」

「は？ボケてんの？」

思ったより辛辣な言葉が返ってきた。

眉を顰めてるジョングクが頬杖ついて、

少し笑いながら甘えたような視線を私に送る。

……あぁこれだ、昨日見た彼の顔。

学校では絶対に見せなかったその表情。

「一緒にいたの、忘れた？」

「忘れてない……確認しただけ」

「あっそ。でも他の人にバレると面倒だからやめとこ、話すの」

「わかった」

確かにあの店に出入りしてるのバレたら

間違いなく面倒事は避けられないだろうな。

はぁ…と溜息を吐いて私も席に座る。

「ね、俺も確認したいことあった」

「なに？」

「今日もA、いるの？」

どこに、なんて聞かなくても分かる。

私の居る場所は学校とあの店だけだから。

「いるよ」

「ふーん」

「(何だその返事)」

自分から聞いたくせに、もうどうでも良さそうだ。