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店でジョングクと会うのが日課になった。
学校にいる時とは違って楽しそうに、
無邪気に笑ってる彼だけど
ふと気づくと一瞬、寂しそうな目をしている。
……理由なんて聞けるわけないけど。
「(他に聞けないことはまだあるし)」
ジョングク、部活どうするの。とか。
前に触れ欲しくなさそうな態度だったから
私からは無闇に干渉しない。
お互いここで楽しめればいいでしょ。
深く関わるなんて、面倒だ。
「A、ってば」
「うわっ何?急に視界に入ってこないでよ」
「そんな言い方ある?俺ずっと呼んでたし」
「あぁ…気づかなかった。」
「考え事?知恵熱だすよ」
バカだと思われてるのかな、私。
まぁね。ジョングクと似た成績だけど。
ふぅ…と息を吐いて伸びをしてから
ジョングクの逞しい膝を枕代わりに寝転がる。
……ジョングクって本当、
どのアングルからも完璧な顔だよね
絵になる、っていうか。
「やらしい目で見ないでくれる?」
ふと私の目を塞ぐ大きな手。
これじゃ何も見えない。
そもそもそんな目で見てないし。
……いや見てたのか?
でもやらしいって……
ただ綺麗なものを見てただけなのに。
「ジョングクってさ」
「うん」
自画像とか描かないの?
って言いかけてやめた。
ギリギリ彼の琴線に触れるような
そんな話題だって言い出してから気づいた。
言葉を止めた私をジョングクが
不思議そうに見ているんだと、わかる。
目を塞がれていても感じる視線。
「………何でもない」
「気になるじゃん。変なこと考えてた?」
「変態扱いしないでくれる?」
「あれ、違ったんだ」
ジョングクの耳障りの良い笑い声が聞こえる。
なんか、もう良いかな。
気になることは沢山あるけど
彼がここで笑っていてくれるのなら。
こうやって楽しく言い合い出来るなら
無理に知ろうとしなくてもいいか。
意味なくジョングクの心に踏み込んで
傷つけてしまうよりは、ずっといい。
「ジョングク」
「うん?」
「……すきだよ」
指の隙間から見えたのは耳まで真っ赤な顔だった。
「俺も、嫌いじゃないよ」
そこは好きじゃないのか。
なんて、笑いながら思った。
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作成日時:2024年3月17日 13時