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…
慎太郎side
医師「…かなり進行していますね。
この辺り、脳の萎縮が前回よりもかなり進んでいます。」
脳の画像を前回と比較して見せてもらうと、「空洞」の部分が広くなっているのがわかった。
脳が萎縮してる、つまり完全にMCIになったって、ことかな。
医師「進行も、早くなってきているかもしれないです。薬、ちゃんと飲めてますか?」
慎「あ、いえ、たまに飲み忘れたり……」
「ごめんなさい……」
医師「あぁ、いいんですよ。そこまできにしなくて。
ただ、習慣づけて脳を動かすことで、改善に繋がることもありますし、
これからはもう少し、飲んで行けるように頑張って見ましょう。」
慎「ありがとうございました。」
「ありがとうございました〜」
2人並んで桜の揺れる木の下を歩いていく帰り道。
慎「ひろは、これからやりたいこととかある?」
「うーん、しんたろーと、星見に行きたい」
今は慎太郎忙しいから行けないけど、星見に行く約束したもんねって。
だいぶ前の事を、俺も忘れてるようなこと、ちゃんと覚えててくれて、
慎「うん、いこ、ちゃんと。俺休みとるから」
涙が込み上げてきそうになった。
「なんでしんたろそんかに感動してんの?」
置いて行っちゃうよーって先を歩くひろ。
慎「ねぇひろ、そっちじゃないよ。」
「え、なんで家こっちでしょ?
どこ行くつもりなの慎太郎」
慎「どこって家だよ。早く帰んないと樹たち来るよ?」
「樹?あ、じゃあそっちから行く?」
慎「今日のご飯当番でしょ、ひろ」
「あ、そっか、
僕ら今シェアハウスしてるんだったな」
…
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作者名:ゆうか | 作成日時:2021年3月6日 17時