行く先は違えど。section.1【コードブルー】

꒰ঌ‪ episode.22 ໒꒱ ページ23

.꒰ঌ



滅多に人が立ち入らない中庭まで来て、漸く腕を解放された。


「お前マジで何？こんな所まで無言で連れてきやがって」


目付きも、言い方も、言葉も。何もかも全て、普段の琥大郎とは180度違う。何も知らない人から見れば、想像もつかない程に。

でも、本来の琥大郎はこっちだ。


西条「藍沢と、昔の自分を重ねて見るな」

「重ねてねぇ。ただ、患者の為にならねぇ事をしてるから」

西条「違うな。お前は、あんな感情的な怒り方はしない。何があってもな」

「……」


オレが、田所部長の好意を無視して勝手に脳外に行ってすぐの話だ。その時たまたま西条は不在。オレは、研修上がりの奴と一緒にオペに入っていた。


「おい！そこもっと丁寧にやれ馬鹿！」

「すみませんっ！」

「吸引遅い！手元見えねぇだろうがアホ！」


まさに地獄。スピードもクオリティも一切落とさず、ポンポン罵声を浴びせる。それは慣れてない医者からすれば、恐怖でしか無い。

ただでさえ慣れないオペで、こんな緊迫した空気。第1助手の医師は特にテンパっていた。手順が飛んだのか一々琥大郎に指摘されてるし、落ちた器具を拾おうとするしで散々だ。


「お前ら足引っ張りに来てんなら帰れよマジで。邪魔だから」



.

꒰ঌ‪ episode.23 ໒꒱→←꒰ঌ‪ episode.21 ໒꒱

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す