検索窓
今日:2 hit、昨日:16 hit、合計:2,049 hit

壱章 ページ3

人々が溢れ活気のある街並み。そんな風景を見れば、皆は口々に「いい町だ」というだろう。だが、道を一本外れればそこはもう「いい町」などとは言えなくなる。家もなく、ボロ布に身を包み、人目を避け毎日を凌ぐ者で、溢れていた。

そして彼もそのまた1人である。

「おい!っざっけんな!待てクソガキ!!」

近くの店から食料を盗み取り、自慢の足で相手を翻弄する。
フードを深く被り、食料の入った袋を小脇に抱え通路の奥へ奥へと進んでいく。



どれほど走っていたのか…。
少年がふと立ち止まる。後ろを向いてももう店主は追いかけてこない。すぐに抱え直して歩き出した。

「レオおにいちゃん!おかえりなさい!!」

「みんな!レオが来たよ!!」

「おなか…すいた」

レオ「慌てんな。飯なら沢山持ってきたから…」

「「はーい」」

暫くして聞こえてきたのは数人の子供の声と、大人の姿。
大人といってもまだ16歳ぐらいだが…。
レオと呼ばれた少年は見た目からしても、13歳ぐらいに見える。

袋の中身を順々に渡し、他の者達に駆け寄る。

「レオ、いつもすまねぇな。お前のその能力に頼っちまって」

レオ「気にすんな。できる奴がするのは当然だ」

「ありがとな」

他の大人でも行けなくはないが、皆がレオに頼る理由…それはレオの能力にあった。
能力…といっても、それは身体能力が他のものに比べ高いだけ。それはレオの血筋のおかげでもある。
レオは獣子族と枯子族の混種で、他のものよりも身体能力が高かった。その為、食料調達などといった危険なことを任されることが多かった。

「最近、混種に関してまた厳しくなったそうだ気をつけろ」

レオ「わかった」

かくゆう目の前の彼も、また違う種族との混種だった。
混種は見た目が枯子をベースに他の種族の特徴が入っている為、見分けやすくなっている。
レオは、見るものを怯えさせそうな大きな赤い目と、耳、硬く長めの髪の毛が特徴だ。

目の前の彼は目が見えない代わりに、精霊が周りを飛んでいる。

レオ「それじゃあまたな」

役目を果たし、帰路につくレオ。住処は別にあるが、態々皆に食料を送り届けにきている。

「レオにぃ!ありがとう!!」

「おにいちゃんまたね!!」

「今度は遊んでくれよ!!」

背後からかけられる声に手を挙げて答え、歩いた。

フードを被り直し、進んでいく。暫くして背後に気配を感じたが、どうやら遅かった模様。気がつくと意識は暗転していった…。

2→←起章



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:あげのり   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あげのり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/raimu2/  
作成日時:2019年5月16日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。