淡い恋日和〈 永瀬 〉

＿＿ Love weather.28 ページ28

.








永瀬さんが海人くんの首根っこを掴んで、
二階席へと去って行くのを見守る。








優太は、まだ試合前だと言うのに

疲労が顔に出ていた。








海人くんの元気は良い事だけど、圧倒されてしまう。








『 おじいちゃんみたいだよ、顔 』


優太「 仕方ねーだろ、あの海人だぞ、見たろ？ 」








“ 疲れたぁ〜 ” と水分補給をして
トーナメント表が貼られたボードの前へ。








そこには沢山の選手がいて、








背の高い人から、いかにも上手そうな人まで。








今からこの人達と戦うのかぁと考えると、気持ちがだんだんネガディブになっていってしまった。








勝てるかな…

もしかしたら負けるかも…








弱気になっちゃダメだと自分に言い聞かせても、

やっぱり思ってしまうのは仕方なくて。








『 優太、勝てると思う？ 』








つい、前向きな言葉が聞きたくなってしまった。








優太「 勝てる、いや勝つ 」








私が不安になっていると悟ったのか、真っ直ぐに私の目を見て ガッツを与えてくれる。








“ な？ ” と確認する優太。








私は、この人がいて本当に良かったと思った。








『 そうだね、絶対に勝とう 』


優太「 おうｯ！ 」








こうして、それぞれのコートに向かった。








＿＿








一試合、二試合…と時間が過ぎていく。








一試合目は、何とか勝つ事が出来て、
それもこれも頑張って練習してくれた部員のおかげ。








シュートが入った時に二階席を見れば、








永瀬さんと目が合った。








ほんとに小さく、私にだけ分かるように手を振る。








永瀬さんの隣では、
海人くんがガッツポーズをしていて。








二人共、ちゃんと応援してくれてるんだ…

と今更ながら元気が出た。








次は、毎年決勝まで進んでいる強豪校と対戦する。








…どうしても、負けたくなかった。

何が何でも勝ちたかった。








たとえ、強豪校であったとしても、勝てる見込みはあったし…油断をしなければ勝てたはずだった。








そう、








お察しの通り…








私達は負けてしまった ＿＿








.

＿＿ Love weather.29→←＿＿ Love weather.27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す