＿＿ lie and love.35 ページ35
平野side
社員のいなくなった医務室は静かだった。
しん…としていて。
肌に当たる空気も、冷たかった。
暖房は効いているはずなのに、何故か指先が冷えていて、背中も 汗のせいか酷く寒かった。
ベッドの横の椅子に座る。
遠くの方からイベントの音が聞こえた。
でも、それは本当に小さい音で。
自分の心臓の音の方が、大きく感じた。
布団から出ているAさんの手を取って握る。
俺の手よりも冷たかった。
こんなに小さな体で、あんな無茶したんだ。
倒れる事だって有り得た。
だったら、なんで俺は止めずに手伝ったりなんか…
Aさんが倒れるって分かっていたら、こんな無茶な事なんて絶対にさせなかったのに。
…でも、きっと…
止めても聞かなかったと思う。
手をぎゅっと握ると、握り返してくれた。
“ ぇ、！？ ” と反射的に彼女の顔を覗くけれど、意識が戻ってきているような雰囲気は無かった。
気持ちが落ちていく。
早く目覚めて…謝りたいから。
俺は社長なのに、社員であるAさんを無理させてしまって 終いには倒れさせてしまった。
異変に気づけなかった。
華奢な女の子だという認識が甘かった。
紫耀「 ごめん… 」
あまりの不甲斐なさに俯いて謝ると、
『 どうして社長が謝ったりなんかするんですか 』
少しキツめの口調で、
Aさんがそう言った。
紫耀「 めっ、目覚めて…いつから！？ 」
『 社長が手を握った辺りですかね 』
紫耀「 え、結構前… 」
“ 社長が早く目覚めてって空気を出すから、いつ目覚めれば良いのか分からなくなったんですよ ”
Aさんは、刺々しい言い方をする。
恥ずかしさで顔が熱かった。
『 こちらこそ、すみません。ご迷惑とご心配をお掛けして…イベントも手伝えずに… 』
今度は申し訳無さそうなAさん。
どこまで律儀な人なんだ、と笑ってしまう。
Aさんは、人が真剣に謝っているのに信じられない とでも言いたげな表情で俺を見た。
紫耀「 Aさんは、よく頑張ったよ 」
優しく、そう言った。
↓↓↓
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あぐた。(プロフ) - 涼杜兄妹さん» コメント、ありがとうございます。岸くんの失恋は暗くならないように明るくいこうと考えていたので、それが伝わっていて良かったです！応援、ありがとうございます！ (2020年1月20日 10時) (
レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 初コメです！面白かったです！岸くんの告白があっさりで、こんなナチュラル告白できるイケメン岸くんも素敵！って思いました！続編、みたいです！！今後も応援しています！ (2020年1月20日 9時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - マサさん» コメントありがとうございます。楽しみにして下さってる方を待たせないように更新はしてみようと思います！宜しければ続きも読んで頂ければ嬉しいです^_^ (2019年12月21日 14時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
マサ(プロフ) - はじめまして！不快って何がだろう？と考えても考えつかないほど楽しく読ませていただいております！紫耀くんが出始めてますます面白くなってきて好きです！これからも楽しみにしております^ ^ (2019年12月21日 12時) (レス) id: 91fadabfdb (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - ウぉんｽ?さん» コメントありがとうございます。消す事がないように真剣に作品と向き合います。。 (2019年12月20日 22時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あぐた。 | 作成日時：2019年12月15日 15時
