最強な弟。フツーな兄。

漆 ページ9

「『影透』解除」


特にやる意味もなくなった術式を解除した。
急に聞こえたその声に2人は驚いてこちらを見る。


「Aセンセ…？なんで、ここに………しかもソレなに？」

ソレと指したのは俺が持ってる弓矢。影を纏わせてる黒いコレは確かにヤバいものに見える。


「……見えてる側で、持ってる側ですか？」


黒髪の少年が警戒するようにこちらを尋ねる。


「そうだけど？」
「俺は貴方の存在を聞いてない」
「そりゃ、俺はフツーの教師で、フツーに偶然居合わせちゃっただけの人間だからね。任務でもなんでもないよ」
「名前は？」
「人に尋ねる前に自分から名乗れ」
「ちょ、待て待て。どういうことだよ！先生にはコレ全部見えてんの！？」


黒髪の少年と俺の間に虎杖が慌てて入った。

「それはこっちのセリフだ虎杖。呪いってもんはフツー見えないんだよ。死に際とか今みたいな特殊な状況を除けばな」
「あー確かに俺今まで幽霊とか見たことないしな」
「……」

黒髪の少年が怪訝そうな顔をする。
「コイツ教師じゃなかったのか？なんなんだコイツは」みたいな顔をしている。

君意外と感情が表情に出るね。

俺そーゆー人間味のあるやつ好きよ。


「オマエ怖くないんだな」
「いやまあ怖かったんだけどさ。知ってた？人ってまじで死ぬんだよ？」
「は？」
「だったらせめて自分の知ってる人くらいは正しく死んでほしいって思うんだ」

自分でもよくわからん、と虎杖は首を傾げながら言った。やべぇ、俺フツーについていけない。どういう状況。最年長である俺が1番状況わかってないんだけど。

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