壱 ページ3
「今日の古典はみんな大好き枕草子でーす。俺はあんまり好きじゃないけど。春も夏も秋も冬も、全部夜中が最高だよ。睡眠最高」
「じゃあ、俺も今この時間に最高な睡眠していいスかー?」
「ダメでーす。先生が教頭にフツーに怒られまーす」
どっと笑いが起こる。あーゆー陽キャの男子はフツーにありがたい。授業の空気がフツーに良くなる。
午後の古典は眠い。正直、俺も眠い。
「枕草子の作者は……えーっとじゃあ虎杖。答えろ」
「うえっ!?は、はいっ」
ガタッと慌てたような音がする。
廊下側の前から二番目の席にいた虎杖は慌てて教科書を開く。意外と目につく席でウトウトしてたのを俺はしっかりと見届けたぞ。
「寝てたなお前。古典の成績1な」
「唐突な厳しさに俺びっくりなんだけど!?」
「NO.1だぜ。やったな」
「嬉しくねぇ…」
色素の薄い髪を掻きながら虎杖は「えー…清少納言?」と答えた。
「何時代?」
「平安?」
「その他の三大随筆は?」
「げ、源氏物語?」
「そもそも随筆じゃねーよソレ。なんか腹立ったから一発ギャグお願い」
「なんで!?」
「愛だよフツーに」
「嘘つけ!!」
天性の陽キャ体質の彼を程よくからかったところで授業に戻る。“春はあけぼの〜”と黒板に文を移していく。
この学校に赴任して2年目となる。
受け持ったクラスは丁度授業をやってるここ。
「ひっくしゅッッ」
「いや、先生くしゃみ可愛いな」
「なんか寒くね?俺さっきから寒気やべーんだけど」
「風邪じゃない?」
そうかもしれないと思いながらもう一度くしゃみをする。可愛い〜と女子から声が飛んだ。
でも、風邪を引いた時の悪寒とは少し違う気がする。
すげぇなんかヤな感じ。
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憐夏 - 好き めんどくさい兄弟関係って尊すぎる! (2021年2月25日 20時) (レス) id: 1ae87684b0 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 伏黒の立ち位置が好きです。そして唐突に登場した歌姫も……好きだぁ。更新頑張ってください! 続編行ってきます! (2021年2月7日 3時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
るりあ(プロフ) - 800個目の星はもらったッ!! 好きです。更新頑張ってください。 (2021年1月31日 11時) (レス) id: d87d5c1f37 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - ああああああああぁぁぁ最高応援しておりまする!! (2021年1月24日 22時) (レス) id: adf56d1812 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - すっっっっ…………………………っきです。更新頑張って下さいまし!! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月 | 作成日時:2020年11月25日 1時