◇燈[バッツマン] ページ11
｢A、｣
月明かり以外照らすものがない食堂に、小さな呟きのような言葉が落とされた。そんな唐突な出来事に心臓は縮み上がってしまい、私は振り向くことも出来ずただ唾を飲む。
こんな時に、こんな場所で誰かに私を見られたくなかった。酷く惨めな自分の顔を相手に晒さないよう、窓の外を眺めたまま言葉を返す。
この人が居なくなることを、ちょっとばかり祈りながら。
｢誰？また私を笑いに来たの？｣
｢違う…グプタだ。｣
その発言で、私はそれが誰なのか初めて気が付いた。ほとんど言葉を交わしたことが無かったから、彼だと＿いつもどこか危うさを纏っているガンジだと分からなかったのだ。
その声がひどくぶっきらぼうでいて、どこか暖かみのあるものだったから余計に。
｢…傷付けられたのか、あいつらに｣
｢違う、｣
彼を突き放そうとした声は震えていて、自分で自分が無様に思えてきてしまった。
全て私が悪いという訳では無かったが、私がミスをしたことは事実に変わりない。そんな事で傷付いているとは誰にも知られたくなかった。
ましてや、彼に知られるなんて。その不安定さが何に矛先を向けるか分からなくて、彼のことをすこしだけ怖いと思っていた。
｢あんたは何も悪くない。…それだけだ。｣
そういえば、ゲーム中一度だけ、彼の声を聞いた。
風の音に紛れてしまいそうな程微かな、感謝の言葉。
彼は、本当に恐れるべき人物だろうか。
｢ガンジ…？｣
床が軋む音が遠のいて行く。
振り返れば、そこには彼の余韻が残る暗闇があるだけだった。
暖炉もないこの部屋はよく冷える。
彼が灯した温もりが少しだけ恋しいと感じた。
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瑠璃(プロフ) - ステラテスさん» ありがとうございます！早速リクさせてください🙇♀️日を蝕む者で夢主がイタカに反発したけど敵わなくて逃げたけど結局捕まって監✘禁されてしまうみたいなお話が見たいです！コメント再書き込みしてます💦改めて更新頑張ってください！ (7月14日 17時) (
レス) id: b3de71fca2 (このIDを非表示/違反報告)
ステラテス(プロフ) - 瑠璃さん» コメントありがとうございます、そう言って頂けて嬉しい限りです！これからもマイペースながら、ゆるりと更新して行きたい所存です。もちろんリクエストも受け付けていますので、なんなりとお申し付け下さい！ (7月11日 21時) (レス) @page13 id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - こんばんは、夜分遅くに失礼します。主さんの小説が目に入ったので読んでみたらとても面白かったです！お体に気をつけて更新頑張ってください！それと、リクエストは受け付けていますでしょうか…？ (7月11日 1時) (レス) id: b3de71fca2 (このIDを非表示/違反報告)
ステラテス(プロフ) - 葦織さん» コメントありがとうございます！悲しい方に走りがちですがそう言って頂けるととても嬉しいです！ありがとうございます。 (2021年5月12日 0時) (レス) id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
葦織(プロフ) - 悲しいけど好きです(´；ω；｀) (2021年5月10日 0時) (レス) id: 2d3ed3418a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ステラテス | 作成日時：2021年5月9日 18時
