◆ 罌粟子[白無常] ページ37
初めての中華街で上手く立ち回れるか緊張していると、早速ハンターが近付いて来た。不運な自分を呪いながら物陰に隠れていると、上から声を掛けられる。
｢你好｣
｢に、にーはお…｣
どうやら今日のハンターは無常さんらしい。予想していた攻撃が無いので恐る恐る後ろを振り返ると、にこりと笑った謝必安が佇んでいた。
｢今日は気分が良いので、見逃してあげますよ。｣
｢あ、ありがとうございます…｣
開始早々見つかった私を哀れんだのだろうか。少々不満に思っていたが、この際彼の好意につけ上がる事にした。
｢もし出来れば…この場所の案内をして貰えませんか？ここは初めてで…｣
｢おや、そういう事でしたらすぐにでも。ここは私達が得意とする場所なので。｣
｢必安さん、これ美味しい！なんて言うの？｣
｢包子ですね。｣
｢A、私達もう帰るわよ…？｣
地形の把握はもはや観光と化しており、私は異国の文化を存分に楽しみまくっていた。呆れた様にゲート前で待機するウィラ達を前に、少し寂しさも感じながら肯定の意味で手を振る。
まだ必安さんと楽しんでいたい…
｢これはなんですか？｣
｢あぁ、これは…まぁ煙草のようなものですね。私達の生きていた時には無かった物ですが。リラックス出来る効果があるそうですよ。｣
吸ってみますか？と煙管を差し出されるが、私は煙草の吸い方を知らない。受け取った煙管をあたふたと眺めていると、必安さんの絹のような指が伸びてきた。
驚いて彼の方を向くと、クス、と妖艶な笑みを浮かべられた。
馬鹿にしているのか、それとも私の気をどうにかさせたいのか。こんな仕草をされては、胸が高鳴って仕方がない。
｢こうやって吸うんですよ。｣
｢は、はひ…｣
懇切丁寧に教えてもらい、やっとの事で吸い込んだ煙は不思議な香りがした。頭がぼーっとして、心なしか気持ちが落ち着いた気がする。これがリラックス効果…！？手と手が触れ合っていても先程のようにならないという事は、正真正銘効果があったという事だ。
｢…気持ちいいですか？｣
｢うん、とっても…｣
｢ふふ、それは良かった…｣
そう言って私の頭を撫でる必安。時おり髪を梳いたり、首筋をなでる動きがどこか擽ったくも心地良い。夢のような時間に浸っていると、ハンターが投降したという旨のアナウンスが流れる。
｢もし、もっと味わいたかったら…私の部屋に来てくださいね。｣
｢…この香りは…｣
Aとすれ違ったウィラは、酷く顔を歪ませた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ステラテス(プロフ) - チャカポコさん» コメントありがとうございます！褒めていただけてとても嬉しいです、おじょぜの魅力を最大限引き出せるようこれからも精進して参ります。 (2021年5月1日 1時) (
レス) id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
チャカポコ(プロフ) - おじょぜの話、とても好きだ… (2021年5月1日 0時) (レス) id: ac5889fea8 (このIDを非表示/違反報告)
ステラテス(プロフ) - 道影さん» コメントとリクエスト共にありがとうございます！そう言って頂けて本当に嬉しい限りです。時間が空いてしまいましたが、リクエストして頂いたお話の更新が終わりました。どうぞこれからもこの作品をお願いします。 (2021年4月28日 0時) (レス) id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
道影 - すっごい面白いです！めちゃニヤけが止まらへん…(笑)あとリクしても大丈夫でしょうか？大丈夫でしたらVAL組で狂愛お願いしますっ！ (2021年4月12日 21時) (レス) id: 28f2bba1fe (このIDを非表示/違反報告)
りりな - リクエスト応えてくれてありがとうこざいました、、！やっぱりこの短編集の雰囲気だいすきです、！！ (2021年4月3日 19時) (レス) id: 88b3cccd14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ステラテス | 作成日時：2021年2月13日 23時
