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咄嗟に逃げようとした腕を掴まれ、引き寄せられ、サーベルの峰で打たれて。ハンターの持つ人間離れした力を前にして、私達に為す術など無いのだ。
私がダウンした所にジョゼフが屈み、またあの青い瞳に捕えられる。
｢やめろ、彼女に触るな！｣
｢弱い君がAを守ろうだなんて、癪に障るね。｣
目の前が歪んで、脂汗が滲んで、あの時を思い出す。
それでも前回の様にただ甚振られる訳には行かないと、精一杯の勇気で彼の青を睨みつける。解読と傭兵が立ち上がれる時間を稼げればそれで良かった。
そんな思いとは裏腹に、ジョゼフは言う事を聞かない子供を見るように薄く笑みを浮かべた。私に背を向けた彼を見て嫌な予感が脳を掠める。
｢まさか…待って、やめて！｣
｢君はか弱くも、強く聡明だ。だから、今日は少し趣向を変えてみようと思ってね。｣
切っ先がナワーブの頬にあてがわれる。次の瞬間、鈍い音がして彼の体が数メートル転がる。苦しそうな声を洩らし、押さえられた下腹部からは血が滲んでいた。
｢ふふ、古傷が開いてしまった様だね？｣
｢ああぁ、どうして！｣
｢あぁ、そういえば。何故私の嗜好が荘園主に許されたのか…分かるかい？｣
私の叫ぶ声には耳も貸さず傭兵の足を踏みつける瞳には、愉悦とほんの少しの苛立ちが見える。
｢ぐっ…｣
｢それはね、君たちが罪を犯した者だからだよ。罪人に罰を与えるというていで、私達は存分に狩りを楽しむことが出来る。｣
＿最高じゃないか。
高らかにそう彼が叫んだ瞬間、聞きたくはない音が響く。ぐき、とかメキ、といった種類の物だ。まるで見たくないと言うかのように涙が溢れて、視界がぼやける。自分が痛みを与えられるより、もっと苦しい。
滲んだ緑の影は、もう動かなくなった。ただ見ていることしか出来なかった自分に、腹が立つ。そんな私を見て彼は更に嬉しそうに口を歪めた。
｢なんだ、大口を叩いた割には呆気ないな…もう立ち上がれるんだろう？あともう少しで通電するから、今回は君達の勝利だ。｣
良かったね、と微笑む瞳に優しさなど見えない。この先も私を苦しめる為にこんな事をするの？
起死回生で立ち上がった私を攻撃するでもなく、ジョゼフはそこに佇んでいた。
｢時間はたっぷりある…そう、永遠にね。その間、私から逃げ続けるといい。そして、ずっと私を楽しませておくれよ。｣
通電を合図に、ゲートへ走り出す。少しでも、彼から離れる為に。
｢あぁ、無力な抵抗ほど楽しいものは無いね。｣
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ステラテス(プロフ) - チャカポコさん» コメントありがとうございます！褒めていただけてとても嬉しいです、おじょぜの魅力を最大限引き出せるようこれからも精進して参ります。 (2021年5月1日 1時) (
レス) id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
チャカポコ(プロフ) - おじょぜの話、とても好きだ… (2021年5月1日 0時) (レス) id: ac5889fea8 (このIDを非表示/違反報告)
ステラテス(プロフ) - 道影さん» コメントとリクエスト共にありがとうございます！そう言って頂けて本当に嬉しい限りです。時間が空いてしまいましたが、リクエストして頂いたお話の更新が終わりました。どうぞこれからもこの作品をお願いします。 (2021年4月28日 0時) (レス) id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
道影 - すっごい面白いです！めちゃニヤけが止まらへん…(笑)あとリクしても大丈夫でしょうか？大丈夫でしたらVAL組で狂愛お願いしますっ！ (2021年4月12日 21時) (レス) id: 28f2bba1fe (このIDを非表示/違反報告)
りりな - リクエスト応えてくれてありがとうこざいました、、！やっぱりこの短編集の雰囲気だいすきです、！！ (2021年4月3日 19時) (レス) id: 88b3cccd14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ステラテス | 作成日時：2021年2月13日 23時
