◆雨だれ[黒無常] ページ11
(誰にも[白無常]の続きです)
しとしとと振り続ける雨。
昔はこの心地よいリズムが大好きだったが、今は大嫌いだ。
無くなってしまった筈の足が疼くから。
｢おはよう、A。｣
｢…おはよう｣
今日先に起きたのは黒い彼らしい。
1人では何も出来ない私を起き上がらせ、朝食を食べさせる彼はとても満足そうな顔をしている。
初めのうちは食事を拒絶したり、逃げ出そうと目論んだ事もあったが、もうそんな事は考えられない。無理やり食事を摂らされ、辱められる位ならもう、…
そういえば、いつも朝の世話をするのは白い方だった筈だ。こんな疑問が浮かぶ様になるという事は、どうやら思ったより私は毒されているらしい…
｢…今日は、必安じゃ無いんだね。｣
吸い込まれる様にして顔を見つめていると、彼はふっと笑って視線を窓の外へ移した。
｢雨、だからな…｣
ポツリと呟き、柄にもなく優しい目をした彼が不意にこちらに手を伸ばす。
少し圧を掛けながら喉元から胸を辿り、私の心音や呼吸を確認するようにしてしばらく胸に手を当てていた
自分が生きている事を、再認識させられているように。
｢お前から聞いてくるなんて珍しいな。もしかして俺よりあいつの方がお好みか？｣
｢そうかもね。足の2本あげた相手だし。｣
皮肉って返すと、今度は不服そうに輝く金が私の目を捉える。今は、彼等に反抗するのも、機嫌を損ねてしまうのも怖くない。
｢…いくら兄弟でも、抜け駆けは容認出来ないな。俺には何をくれるのか楽しみだ。｣
｢じゃあ肺ならどうかな？肺なんかあったら、溺れた時に苦しいでしょう。無咎はよく分かるのかな。｣
ちらと彼の顔を見るが、真顔でこちらを冷ややかに見ているので感情が読めない。
｢溺死は心臓が麻痺するのも苦しいらしいね。それとも、それすら感じれない様に脳を壊す？｣
震える声で必死に啖呵を切り続けるが、彼の表情はぴくりとも動かない。鼓動が煩い。
｢命に関わってもいい、欲しいならあげるよ。だからさ…｣
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ステラテス(プロフ) - チャカポコさん» コメントありがとうございます！褒めていただけてとても嬉しいです、おじょぜの魅力を最大限引き出せるようこれからも精進して参ります。 (2021年5月1日 1時) (
レス) id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
チャカポコ(プロフ) - おじょぜの話、とても好きだ… (2021年5月1日 0時) (レス) id: ac5889fea8 (このIDを非表示/違反報告)
ステラテス(プロフ) - 道影さん» コメントとリクエスト共にありがとうございます！そう言って頂けて本当に嬉しい限りです。時間が空いてしまいましたが、リクエストして頂いたお話の更新が終わりました。どうぞこれからもこの作品をお願いします。 (2021年4月28日 0時) (レス) id: 6c8573e34b (このIDを非表示/違反報告)
道影 - すっごい面白いです！めちゃニヤけが止まらへん…(笑)あとリクしても大丈夫でしょうか？大丈夫でしたらVAL組で狂愛お願いしますっ！ (2021年4月12日 21時) (レス) id: 28f2bba1fe (このIDを非表示/違反報告)
りりな - リクエスト応えてくれてありがとうこざいました、、！やっぱりこの短編集の雰囲気だいすきです、！！ (2021年4月3日 19時) (レス) id: 88b3cccd14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ステラテス | 作成日時：2021年2月13日 23時
