【鬼滅の刃】天と岩と《起》【悲鳴嶼行冥】

名前 ページ10

貴「悲鳴嶼さん。お願いがあります。」

私は悲鳴嶼さんの手を握りながら言った。


悲「どうした？欲しいものがあるのか？」


貴「あの...私に.....




名前を付けて下さいませんか？」


私は供物として育てられた身。

名前なんぞ、有るわけがなかった。

だが、悲鳴嶼さんは私のことを


『少女』


と呼ぶ。

名前で呼ばれたい、と少し甘えが出たのだ。


悲鳴嶼さんは少し悩んで、


悲「南無...名が無かったのか。」


と言った。

私は静かに頷いた。


悲「まず、名字だな。あの時、君は数多の星と言っていた....ならば、私たちを常に見ている、天、そして、天は恵みの雨を降らす...



天恵でどうだ？」


天恵....あまえ....


うん、気に入った。

私は

貴「嬉しいです」

とだけ答えた。


悲「次は下だな。君は可憐で美しい気配がする。


A。Aだ。」


A.....！！


天恵 A。


悲「名を付けるなど生まれて初めてだ...南無阿弥陀仏...」


貴「...ありがとうございます！う、嬉しいです....！」


胸がどきどきする。

悲「良かった...A、今笑っているんだな..。」

悲鳴嶼さんにそう言われて、ハッと気付く。


私、笑ってる.......！


貴「はい、わたし、笑ってます.....。」


悲鳴嶼さんの手を唇に当てて、笑っているのが分かるようにする。


悲「南無...私も嬉しいぞ。」


悲鳴嶼さんは、少しだけ頬を赤らめて笑った。

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