02.『え、やめた方が…』 ページ3
女が出てくるのを待っていると少し離れた左横に同じようにデパートを見上げる人を見つける。
怪しまれないように横目でその人を見ると正体はこれまた同じメンバーのリュウだった。
先程のキュウ達とは違いクールで静かな彼は恐らく私と同じ枠の中にいる。
あっちは私に気づいていないようだった。
勘が鋭くて周りがよく見える彼にしては珍しい。
『』
リュウに話しかけようかかけまいか考えていると女らしき人が出てくる。
先程と違い黒神にロングでサングラス無し。
後ろにいないからきっと3人は巻かれたのだろう。
リュウは女を見つけると程よい距離を保ちながらいつもとは違う色のネクタイを揺らしながら歩き出す。
私もその後をまた距離を保ちながら追いかける。
リュウが時折追跡マーカーをしっかりとつけているのを目に焼き付けながら。
『(やさしいんだから)』
階段を登り屋上に行き、広い場所に出る。
『(あれ?もしかしてこれってリュウをストーカー
してるみたいに思われる?)』
そんなことを考えているとリュウが立ち止まる。
証拠の写真を撮るようだ。
階段の一番奥からその様子を眺めていると何人かのドタバタとした足音が聞こえてくる。
どうやら全員集合したようだ。
そこにはさっきいなかったカズマもいた。
「あっA!先来てたんだ。
そういえば追跡マーカーってAがやった?」
『んん。リュウが』
「やっぱりリュウなのねー流石だわ」
メグが感心したように頷く。
同感だ。
「そんで肝心の女とリュウは?」
キンタはミッションのことしか頭にないみたい。
『あそこ』
キュウを先頭に突入する。
私もいかにも今まで一緒にいましたと言わんばかりに溶け込んで。
足音に気づいたリュウが私達を見る。
「助かったよ追跡マーカー」
すかさずキュウが礼を言う。
いい子だね。キュウは。
「別に。授業で習ったことを実践した迄だろ。」
そんなキュウにクールに交わすリュウ。
本当は優しいのに。
「女は?」
キンタはやっぱりミッションのことしか頭にない。
「ケースに札束が入ってた。証拠は押さえたよ。」
何から何までこなすリュウ。
あの授業でしっかりと身についてるなんて凄い。
「おう。じゃあついでにあの女取り抑えようぜ」
おっといきなり授業から外れてる。
なんだか嫌な予感がする。
『え、やめた方が…』
聞こえているのか居ないのか、聞く耳持たず。
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作者名:咲黒 | 作成日時:2019年2月11日 22時