酒呑み少女と荘園 (ページ6)

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白黒無常(白)side

A『へぇ、黒い方が背ぇちっちゃいんだ』

白「えぇ、懐かしいですね、
彼はそれを気にしてたんです」

私達の過去の話など

彼女にとってはつまらないだろう

けれど、面白そうに笑ってみせる

そんな所に甘えてしまったのかもしれない

白「永眠町ではちょうど線路に
飛んでしまったらしく、目の前に電車が見えて
気付いたら轢かれてました」

A『永眠町かぁ、楽しそう』

見たことの無いステージに思いを馳せる彼女

白「あの、一つだけ。聞いてもいいですか？」

A『スリーサイズはダメ』

体の前で手をクロスさせ、

大袈裟に断る

白「そっちにも興味はありますが、違います」

A『興味を持たなくて結構』

白「何故、ゲームに出ないのですか？
貴女もサバイバーのはず」

彼女は驚いた顔をして、

お酒を取ろうとしていた手を止めた

A『理由？ここに居たいから』

驚いた顔から一転、またいつもの笑顔に戻った

白「？サバイバーは荘園から
脱出するのが目的のはずですよね」

A『そうだね、
でもそうじゃない人もいるんだよ
私はここが好きなんだ』

グラスを手に取り、お酒を注ぐ

A『お金が欲しい人、
願いを叶えたい人。
でも私はどちらでもない
皆と明日を幸せに生きられれば』

グラスを静かに差し出して、

本当に人形のような笑顔で笑った

いや、笑っているのか分からない

白「それは素敵なことですね」

それくらいしか言えなかった

それを言うのが精一杯な程、

彼女のその笑顔に見蕩れていた

カイピロスカ
カクテル言葉【明日への期待】