4 悪いところだから ページ5
彼女の復帰は俺たちが思っていたよりも早かった。
朝のHRで今日からAが復帰すると聞いたのだ。何故かクラスには来ていなかったけど、もしかしたら実習以外は保健室にいるのかも。何週間かは入院生活を送っていたらしいし、噂によると原因はストレスによるものだったらしい。
( う〜ん…でもプロデューサーって書類仕事も多いし倒れるのもわかるかも… )
いっつも大変そうだったしなぁ。
「…あ、ホッケ〜！」
見慣れた後ろ姿に声を掛ければ、ホッケ〜は複雑そうな顔で俺を見る。
「次の時間、久々にAのプロデュースだよ〜！」
早く行こうよと廊下を走るけど、ホッケ〜はそれに怒る様子もなく、ただ黙って俺を見つめている。どうしたのかと首を傾げれば、彼は分が悪そうに俺から目を逸らした。
「…いや、何でもない」
そう言って俺を置いて歩き出すホッケ〜に、少しだけ苛立ちを覚える。
いつだってホッケ〜は言葉足らずだ。
一人で背負い込む癖があるのは知ってるし、俺たちが助けようって思うけど、彼はいつだってそれを口にはしない。
( それじゃあわからないし、助けられないよ。)
レッスン室に入ってすぐに目に入ったのは、久し振りに見た彼女と、それを囲む2Bのメンツだった。
( あれ、なんでA組の皆はあっちで固まってるんだろ。)
先に行ってしまった筈のホッケ〜の姿も見当たらない。夏目がいないのはいつも通りにせよ、A組は追いやられるかのように不自然に壁際に固まっていた。
そのことに若干の疑問を抱きつつ、俺はAの元へ向かう。いつもみたいに彼女に抱き着こうと腕を伸ばしたところで、それは止められてしまった。
ガミさん＿大神晃牙は何も口にはしなかった。
けれど、まるで敵を威嚇するかのようなその表情が俺に向かっていることに少し戸惑って。
「…早くどっか行って」
同じくB組の朔間も俺とAの間に入ってシッシッと手を振る。まるで壁を作るみたいに。Aを守るみたいに。
理解できずに立ち竦む俺を見兼ねたのか、終いにはいつも優しい笑顔を浮かべていたフッシ〜まで困ったような顔で俺を遠ざける。
なに、これ。
輪の中にもう一人見慣れた姿があって、縋るように彼の顔を見れば、彼は何も言わず俯くだけだった。
「サリ〜…？」
あまりの衝撃に声が震えた。
皆して、なんで俺を、A組のことを避けてるの？
彼らの隙間からAの顔が見えた。
彼女は俺と目があってすぐに目を逸らし、サリ〜と同じで俯いた。
なんなの、これ。
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
