32 ぼんやりしていたから ページ33
ふと、真っ白な天井とカーテンが目に入って、なんとなく手を伸ばしてカーテンを開けて見れば、大きな窓から夕日が差し込む。
…いつから寝ていたんだろう。
最後の記憶は凛月くんとガーデンテラスでお昼を食べていたこと。けれども今は保健室のベッドにいる訳で、どうやってここに来たのかも今が何時かもわからず、寝ぼけ眼でぼんやりと天井を眺めていた。
丁度その瞬間、最終下校を知らせるチャイムが鳴って、ふと我にかえる。
恐る恐るベッドから抜け出し部屋を見回してみても、そこには凛月くんも佐賀美先生もいなくて、なんとなく安堵して保健室を出た。
本当にどうしちゃったんだろう。
どうして保健室にいたのかが思い出せない。
少し頭がくらくらして、壁に寄りかかりながら廊下を進む。
…思い返せば今朝から少しぼんやりしていた気がする。
睡魔と戦っていたのもそうだけど、なんとなく立ちくらみがしたり、あまり汗をかかなかったり。
ノートもろくに取っていなかった。氷鷹くんなら貸してくれるかな。
まだ上手く働かない頭で階段を登り教室に向かう。
最終下校時間も過ぎているからか生徒とは誰一人としてすれ違わない。普段なら少し怖く感じるだろうけど、まだ頭がぼんやりしているから然程夕方の学校も怖く感じなくて。
だからかもしれない。
気付けば何も考えずに教室の戸を開いていた。
そして後悔する。
まるで私を待っていたかのように、彼は教室にたった一人座っていた。
廊下側の一番前の席は、元々は夏目くんの。
今は、明星くんの席。
「…遅かったね」
それは久しぶりに聞いた彼の声。
心臓の脈打つ音が厭に耳に張りついた。
次に来るのは罵倒か嘘か、そんなことしか考えられない。
あんなに無邪気に笑っていた彼にこんなことを思うなんて。けれども頭はネガティブな単語でいっぱいで。
「ねぇ、」
真後ろに扉があるというのに足が竦んで動けない。
気付けば彼は私の目の前に立っていた。
「ウッキ〜に、何したの」
彼から向けられた視線は嫌悪だった。
遊木くんとは退院してからは一度も話していない。震える声でそう伝えても、一向に信じて貰えそうになくて。
扉を開けようと後ろに回した左手が急に掴まれた。
そのままバンと音を立て、私の手首はドアに押さえつけられる。
至近距離にある彼の顔。
顔より少し上には私の手首とそれを掴む彼の手。
所謂、壁ドンと呼ばれるこの体勢。
嫌な意味で、心臓がバクバクとうるさかった。
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
