30 鈍いから ページ31
「やっぱり贅沢者だね〜、ゆうくんは。」
目の前の男の裏返った返事にはぁ〜と態と大きくため息をついてみせる。思ってた以上に話が進まない。これで俺の昼休みが三分削られている。
あ〜、早く戻ってお昼食べて寝たい。
自然と顔を顰めていたのか、目の前の彼はおどおどと上目がちに口を開いた。
「もしかして、Aちゃんのこと…？」
なんだ、わかってるんだ。
凛月くんって衣更くんと同じくらいAちゃん大好きだよね、なんてなんの気なしに言われて少し驚く。
まぁ間違いないけども。
話を逸らすように「にぶにぶゆうくんに俺から直々に忠告してあげようかな〜って思って…♪」なんて笑えば、遊木真は少し固まって目線を落とした。
どんな心境かなんて手に取るようにわかる。
ゆうくんが目線を下げるのは、何か思い当たる節がある時とそれに悩んでいる時。…って、セッちゃんに飽きるほど聞かされた。こんな時に活きるなんて思わなかったけど。
「僕、わからないんだ、Aちゃんの気持ち」
「…じゃあ、ゆうくんにとってのAはなんなの？」
そう聞けばあからさまに驚いた反応をされる。
顔を真っ赤にして林檎みたいになって…
いや、まぁ気付いてたけどさぁ、もう少し隠してくれないかなあ？
薄っすらと頬が赤いゆうくんは言いづらそうにぼそぼそと話し出す。
うんうん、俺はお腹が空きすぎて倒れそうだよ〜なんて、みかりんに貰った飴をポケットから取り出してポイと口に放り込んだ。
「今の所、Aちゃんは大切な友達で、僕たちのプロデューサー…かなぁ？」
「………今の所、ねぇ」
少し脅しておきたいがそれはまたの機会にする。
続けて「それならトリスタは？」と尋ねれば、彼は迷い無く「大切な仲間だよ」と答えた。
予想通りすぎる回答に何度目かの溜息が溢れる。
「じゃあ、ゆうくんの中でトリスタは同じ目標の為に支え合い協力しあう大切な仲間なのに、Aはただの友達なんだ？」
ころころと舌の上で林檎味の飴を転がす。
先程までの赤い顔はどうしたのか、彼は驚いて違うと否定した。言葉の綾だと。別にそんなつもりじゃないって。
「…っそれに、Aちゃんが輪の中にいるなんて」
「当たり前？」
彼の緑色が揺れる。
「それってAもそう思ってるの？」
俺は知ってるよ。
瞳が揺れるのは心当たりがある時だよねぇ。
「当たり前って思ってるの、自分だけだったんじゃない？」
パリン、口の中で飴玉が真っ二つに割れた。
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
