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「何度も言ってますけど、セクハラですからこれ。これ以上私を困らせないでください」
「んー?聞こえねぇ」
総長の顔は見えないが、十中八九笑っている。私の利き手を揶揄うかのように触ってくるのだから。
傍から見れば後ろから抱きつかれているように見えるこの状況、どうにかしたい。どうにかしたいのはやまやまなのだが。
少ししてから、「総長」と声をかけた。
何か返ってくる前に、私も触られている方の手を、触ってくる総長の手に絡ませた。
手を繋ぐ状態になったことで、総長が驚いたように手を引こうとするため、逃がさないように更に絡める。
顔は見えなくても、動揺しているのがいやでも伝わった。
倍返しするかのように、指一つ一つを触ってみる。ゴツゴツとした骨をするりと撫でたり、指先を摘んでみたり、指と指の間を揉んでみたり。
触れるだけの総長よりも更にベタベタと遊んでいれば、「ちょっと待ってくれ」と焦る声が耳元でなる。
いい頃合いだな、と思い、手を握ったまま口元に持っていって、総長の指先を唇に触れさせた。
それには耐えきれなかったのか、「なっ」と声を漏らす総長。まさか手に口付けされるとは思わなかったのだろう。
力の入らなくなった手をパッと離す。
私はくるりと回って、総長と向き合う形になった。
顔が赤く染まっているのを、じっと見つめる。
──────────やっぱりそうだ。
「…見ないでくれ」
「すみません」
総長と机の間をするりと抜けて、仕事机に戻った。紅茶は諦める。
今総長を机の前からどいてもらうのは、気が引けたから。
「(……多分総長、私に気があるんだろうな)」
ココ最近の距離だって、行動だって、今の反応だって、少し考えればその結論に至るしかない。
だとしたら私はもう、既に答えは出ている。
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モノクロ - 初コメお邪魔します。リクです。夢ちゃんとサボの共闘とかどうでしょうか?あと、この作品大好きです。頑張ってください! (2022年12月22日 21時) (レス) @page49 id: 668dfd3812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2022年12月4日 23時