【ONEPIECE】発熱【サボ】 (ページ20)

今日:5 hit、昨日:31 hit、合計:38,395 hit

20 ページ20

・

「あら、そんな遠くから？」

「えぇ、苦労して来た甲斐がありましたわ」

情報収集の時間。夫婦を装いながら、客人に話しかけていく。この国のトップがもはや成り立っていないというのにこのパーティーに参加しているということは、それなりのおバカさんか、何か考えている人か、その二択だ。

ほとんどが前者で、すぐペラペラと喋ってくれるものだから、こちらとしては有難い。

「…今のところ確かなのは、国王は最後の方に登場。女の品定めをして、気に入った娘を部屋に招く。身分は関係なく、その場で1番良いと思った女を。だから若い娘や既婚者は、このパーティーに最後まで参加することがない。それくらいですか？」

「あぁ。……なんて言うか、お前、演技派だな」

「見直しました？ダーリン」

「いつまでやってるんだよその茶番…」

総長は額を手で押さえて呆れる。苦虫を噛み潰したような顔をするので、こちらも対抗する。

「酷い、本気にはしてくれないんですか…？」

勿論冗談だ。けど、少し演技派の実力を見せつけて声を震わせれば、途端に腕を掴まれた。

何が何だか分からず困惑する。

総長は唾をゴクリと飲んで、私を見下ろした。

「…本気にしたら困るのはAなのに、か？」

その声色が、あまりにも本気に聞こえて、私も緊張してしまう。そんなつもりで言った訳ではない事が伝わってるはずなのに、それを踏まえた上で聞いてくるこの感じが、とてつもなくむず痒い。

オマケに少し、照れてしまった。

仮面をつけていたのに、そのことを気づかれてしまったのか、総長も「え…」なんて声を漏らす。やめてくれ、今はそういう時間じゃない。

仮面越しに目が合ってしまった。微妙な空気が流れる中、それを壊してくれたのは、別の声だった。

「国王様がいらしたわ」

「私達も急いで帰らなくては」

話の内容から、2人で周りを見渡す。

どこだと探していれば、総長に「あそこ」と耳打ちされた。目線の先を辿れば、確かにいる。

「…今から、国王に見つかりやすい位置まで移動します。別々になりましょう。出来れば外に出て、王の部屋の真下にいて下さい」

「分かった。気をつけろよ」

仮面を外し、少しずつターゲットに近づく。何気なく、そっと。

そして私を見つけてくれた時に、私も目を合わせるのだ。

国王がこちらを向いた。私を見つけた。

目を合わせて、微笑めば、ニヤリと笑って、私の腕をとるターゲット。

上手くいきそうだ。