Ｎｏ．175 ページ46
死「…父さん」
死柄木は、
先ほどの衝撃で落ちた手を
呆然と立ち尽くしながら見ていた
そんな時
ちょうど付けっ放しだったモニターから
会見の様子が聞こえる
それは爆豪に対する
攻撃的な記者側の質問だった……
【もしも彼が悪の道に染まったら？】
確実にメディア側は雄英を挑発
以前、
爆豪は体育祭での横暴さや態度を突いたのだ
相《…彼については
私の不徳の致すところです》
相澤先生は挑発を、なんとか回避してみせる
相《ただ…体育祭でのソレらは
彼の理想の強さに起因しています》
悪者扱いされようと、批判を受けようと
相澤先生の覚悟がその言葉には込められていた
相《誰よりも『トップヒーロー』を
追い求め、もがいている…
あれを見て、隙と捉えた敵は浅はかであると
私は考えております
…我が校の生徒は、必ず取り戻します》
たったの一文でも、
届く者の心にはしっかりと届いていた
爆「…ハッ、言ってくれるな
雄英も先生も……
そう言うこったクソカス連合！」
爆豪は少々の関心を得たあと、
ここから抜け出す算段を必死に考えた
爆「言っとくが、俺ァまだ
戦闘許可解けてねぇぞ…！」
明らかにこの状況下では不利である
唯一の希望は、
自分は殺される対象ではないという事
それを踏まえて爆豪には、
まだ一重に勝路がある
Mr.「…その気がねぇなら
懐柔されたフリでもしときゃいいものを
…やっちまったな」
やれやれ、と両手をあげたコンプレス
爆「したくもねーモンは
嘘でもしねぇんだよ俺ァ…
こんな辛気くせーとこ長居する気もねぇ」
爆豪とヴィラン連合が構えている境目で
一際静まり返っている奴がいる
死「父さん…」
死柄木だ
黒「いけません、死柄木弔！落ち着…」
死「手ぇ出すな」
本性を一瞬だけ晒すように、
死柄木は爆豪を睨みつけた。
その威圧に爆豪は
らしくもなく鳥肌が立つ
死「…こいつは、大切なコマだ」
落ちた手を、そっと拾って
また顔に取り付ける死柄木に
バーボン「まぁ……
俺は君の事どうでもいいけど…
出来れば、少し耳を傾けて欲しかったな
お前とは分かり合える思ってたし」
爆「ねぇわ」
バーボン「そっか…仕方がない、ヒーロー達も
調査を進めていると言っていた…
悠長に説得してられない」
さっきまで会見が写っていたモニター画面が
ノイズ音を立て、真っ黒に染まる
死「先生、力を貸せ」
AFO「…いい判断だよ。死柄木弔」
モニターの向こう側で声が聞こえた
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作者名：Pentas 咲妃 | 作成日時：2019年8月13日 15時
