Ｎｏ．169 ページ40
先生「ギプス、外すね」
緑「はい」
医者と看護師が来て、ガッチリとした
ギプスを丁寧に外してくれた
先生「君が寝込んでいる間、
リカバリーガールが強めの治癒
施してくれたから動かせるとは思うが…
グチャグチャだったよ」
語源を聞いて、尋ねなくとも
その惨状が頭に浮かび上がる……
先生「この短期間で
何度も大怪我してるけど、君ね…
ぶっちゃけ今回は比にならん程重いよ」
僕「比にならない…？」
ゴクリと息を飲みながら控えめに聞くと、
包帯を巻いている医者が答えてくれた
先生「君の今までのカルテ、
特別に借りたんだけどね。
毎度、内側から爆竹が
爆発したような壊れ方してるのよ。
で、今回は特に酷いわけ」
先生「元々、人間は100%の力は出ない。
そうしないと体が壊れてしまうからだ
壊れないよう無意識のうちに
リミッターが掛かっていて、
力を抑えているそう
しかし危機的状況に陥った場合、
そのリミッターが外れる時がある
それがいわゆる火事場の馬鹿力と言うやつだ
リミッターは
耐えられないから掛けてあるわけであって、
それを貴方は何度も外しちゃってるわけ
かつ、長時間やっていれば
直にガタはやってくる。
あと…どうだろう、二、三度か…
同じような怪我が続けば…
腕の使えない生活になると思っといて」
医者のバッサリとした物言いに
頭が真っ白になる……
先生「これからはリハビリで、
それからは雄英に任せる事になってるから…
ここで今日は退院ね」
…本当、上手くいかない事ばかりだな
先生「リカバリーガールさん、呆れてたよ…
きっと沢山怒られて来たんだろうね」
緑「…はい」
自嘲気味に苦笑いしながら
俯き頷くと静かに渡された一枚の手紙
先生「ただ、君に救けられた人間はいる」
緑「…っ！」
僕は病院の屋上に行って手紙を読んだ
差出人は……洸太君だった
手紙には心を締め付ける言葉、
『たすけてくれて ありがとう』と
書いており僕は嗚咽をこぼしながら泣いた
そんな言葉を胸に僕は決めた
もう一度……今度こそ……
僕が
君を
救いに行くと……
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作者名：Pentas 咲妃 | 作成日時：2019年8月13日 15時
