Ｎｏ．168 ページ39
病室は依然として
緊張の糸が張りつめられていた
芦戸「つまり…自分らで
爆豪とAの救出に行くって事？」
芦戸が一筋の汗を流しながら確認する
それに轟が頷いた
轟「爆豪とAを生かして攫ったとは言え、
殺されないとも限らねぇ。俺と切島は行く」
飯「ふっっっざけるのも大概にしたまえ！！」
堪忍袋の緒が切れた飯田君は、
肺の中にあった空気を全て出し切ったように叫ぶ
障子「落ち着け飯田
切島達の何も出来なかった悔しさも、
轟と黒崎の眼前で奪われた悔しさも分かる」
私達と同じ現場にいて、
同じ思いをした障子君が飯田君をなだめた
障子「俺だって悔しい、
だがこれは感情で動いていい話じゃない」
蛙吹「そうね、爆豪ちゃんとAちゃん
が攫われてショックなのは分かるわ
だけど…」
眉を下げながら、
控えめに声を詰まらせる蛙吹ちゃん
蛙吹「どれほど正当な感情であろうと、
また戦闘を行うと言うのなら…
ルールを破ると言うのなら…
その行為はヴィランのそれと同じなのよ」
…重い空気が空間を支配する
何が正しくて、何が過ちなのか。
分かりきっている筈なのに、
互いにすれ違うばかりで
意見は二極化する
そんな時……
先生「もしもし、
緑谷くんの診察時間なんだが…いいかな」
ノックをして開けてあるドアを叩く音が聞こえ
入って来たのは医者だった
見た皆は緊張が解けたのか、肩を下ろした
瀬呂「い、行こか。
耳郎と葉隠の方も気になっし」
言い出し人の瀬呂君を先頭に
皆がしぶしぶ部屋を出て行く
そんな中、切島君だけが
僕の前に立ち尽くしたままだった
切「緑谷」
小声で真っ直ぐに
僕の名前を呼ぶ切島君は真剣そのものだった
獄「八百万には昨日話をした
行くなら即行…今晩」
今晩…か
考える時間はあまりないようだ
切「重症のおめぇが動けるかは知らねぇ
それでも誘ってんのは…
おめぇが一番悔しいと思うからだ」
そう言って
切島君と黒崎君達は病室を出ていった
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作者名：Pentas 咲妃 | 作成日時：2019年8月13日 15時
