8、まさかの誘拐事件? ページ9
自信満々に言った彩ちゃんは、若武を睨んだまま続けた。
「あのページを切り取ったのは、子供を誘拐した犯人で、そいつは、あそこから被害者に出す脅迫状を作ったみたい」
……マジか。
結構でかい事件になってきてる気がする。
「でも名前の所だけが、確信が持てないんだ。『加藤』は、間違いないと思うけれど、『行利』か『利行』か迷ってる」
皆は、一斉に大きな息をつく。
そして、1番に若武が口を開いた。
「ほら、やっぱり大事件だったじゃないか」
嬉しそうに言う若武は、寄りかかっていた黒板に、子供誘拐事件と書いた。
あ、今は、特別クラスにいるからね。
「こいつは、前の事件よりよっぽどデカいぜ。立花、捜査会議の記録をとれよ」
そう言われた彩ちゃんは、ファイルを取り出した。
「それ、新しいノート?」
結構いいノートじゃないか。気合い入ってるね。
私が言うと、彩ちゃんは目を開いてから、言った。
「そうなの」
笑った彩ちゃんは、可愛かった。ほんとに、可愛いわぁ。
「ねえ、警察に届けた方が良くないかなあ」
小塚が言って、私たちを見回した。
「誘拐だったら、前の事件と違って命に関わることだろ。早くしないと、危ないかもしれない」
「でも、まだこれが本当なのかは、分からないでしょ?」
「それに」
上杉は、椅子の背もたれから体を起こし言った。
「もし誘拐が本当なら、なぜ犯人は、そんな重要な手がかりの残る本を、わざわざ図書室に戻したんだ?黙って捨ててしまえば、すむことじゃね?」
あ〜、たしかに。
若武は、悔しそうに片目を細めて呟く。
「じゃ、ただのイタズラってことか?」
「かもしれない」
上杉が、答えると、彩ちゃんは、ため息をついた。
どうしたんだろ。
黒木がクスッと笑って言った。
「アーヤ、残念そうだね。君もでっかい事件を期待してたわけ?」
「そんなんじゃない、もしイタズラだとしたら、今日、この脅迫状を再現するまでにかかった私の時間は、いったいなんだったのかなって思って虚しくなっただけ」
すると若武は、黒板を片手でバンと叩いた。
「そうだ。これを再現させた立花の努力を無駄にしちゃいけない!つまり、こうだ。俺たちは、これから誘拐が本当に行われたかどうかを、脅迫状が本物なのかどうかを確かめるんだ。探偵事務所の名誉にかけて、真実を突き止めよう!!」
「私は、若武にさんせーい」
彩ちゃんの努力を、無駄にはしたくないからね。
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柚姫 - KZのほかのシリーズも作ってください!応援してます! (2021年6月14日 16時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - 日向飛沫さん» 読んで下さり、ありがとうございます!更新頻度をあげれるように頑張ります (2019年7月29日 15時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
日向飛沫(プロフ) - 何時も読ませて頂いています。更新頑張ってください! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - アオイさん» フリガナ振ってなくてすいません![はなみ]と読みます!コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2019年7月6日 14時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 夢主ちゃんの名字の読み方教えてください!更新頑張ってください!! (2019年7月6日 13時) (レス) id: fd0d6f525d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年5月8日 22時