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4、消えたページ ページ5

「有田先生〜。お久しぶりです」

わー、と手を振りながら図書室に入った私は、真っ先に有田先生の元へ行った。

「あら、花珠さんじゃない。久しぶりね」

有田先生は、微笑みながらかえしてくれた。

「最近は、ちゃんと授業受けてるの?」

「サボらないようにはしています。授業中は、寝ちゃうんですけどね」

「そうなのね。ずっと顔を合わせていなかったから、寂しかったのよ。これからも来ていいからね」

「有田先生のために、絶対行きます」

そう言って、先生と笑いあっていると、若武が口を開いた。



「あの、図書室であった事件について、教えてもらっていいですか」


若武に言われ、先生は若武達を振り返りながら言った。

「ええ。本のページが消えてしまったのよ」

そう言うと、先生は私たちに本を差し出してくれた。

「ほらね」


その本は、小さいサイズの受験雑誌。

51、52ページ、73、74ページ、99、100ページの計6ページが無くなっていた。

「昨日、見つけたの」

「ちょっと見せてください」

若武は、気取った調子で言って、雑誌を受け取り、ざっと目を通した。

そして、その本を隣にいた小塚に渡したがら、こう言いやがった。


「小塚調査官」

「ぶっ」

やっべ、吹き出してしまった。なんだよ、小塚調査官、って。

有田先生、笑い堪えてるからね。

それでも、若武はなんも気にしないで先を続けた。


「この6ページは、なぜ消えたんだと思う?きみの見解を説明してくれ」

小塚は、真面目に答えようとして、雑誌をめくったり、閉じたりし、やがて雑誌を奥の方まで開いて言った。

「切り取られたんだ。見てよ」

私たちは、小塚の手元を覗き込んだ。

ほぼ見えないくらい僅かに、切られたページの端が残っていた。

「でも、そんなこと出来ないはずよ」

有田先生が言った。

「この図書室は、ご覧の通り、こんなに狭いでしょう。閲覧室もないし。私がいつもこのカウンターの中にいるんだから、見つからずにページを切るなんて、できっこないわ。帰る時は、カギをかけていくし」

確かに、図書室は狭い。

どこにいても、直ぐに先生の視界に入るから、変な動きをしていたら、即バレる。

「有田先生が、ちょっと席を外したすきに素早くやったってことは?」

「ないと思うよ。先生、席外さないから」

「ええ、席を外すことなんて、ありません」


黒木の質問に、私と先生で答える。

先生は、ずっと図書室にいるんだよね。

5、貸し出されてないんだ→←3、守るに決まってる



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柚姫 - KZのほかのシリーズも作ってください!応援してます! (2021年6月14日 16時) (レス) id: 76382fa356 (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - 日向飛沫さん» 読んで下さり、ありがとうございます!更新頻度をあげれるように頑張ります (2019年7月29日 15時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
日向飛沫(プロフ) - 何時も読ませて頂いています。更新頑張ってください! (2019年7月29日 14時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
つばくらめ(プロフ) - アオイさん» フリガナ振ってなくてすいません![はなみ]と読みます!コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2019年7月6日 14時) (レス) id: 771d970bd8 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 夢主ちゃんの名字の読み方教えてください!更新頑張ってください!! (2019年7月6日 13時) (レス) id: fd0d6f525d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年5月8日 22時

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